コレクションを楽しむ商品や、購買経験によって購入の判断基準が変化する商材では、店舗経営のライフサイクル上の安定期の後半に、「属性による分化」が起こります。
属性とは、一般にあるものに共通して備わっているとされる性質や特徴のことで、例えば物体の色や形、人の能力、素性、社会的関係などです。それが影響して、店舗で分化が起きやすい商材を扱っているなら注意が必要です。
こだわりのある専門店は顧客の属性が決め手になる
例えば食品における自然食品や、アパレルによる商品テイスト(嗜好性)の分化、カー用品のプロショップなどは一部の客層による分化が起きやすい。
このようなショップは客を選びます。
自店が選んだ商材や経営ポリシーとマッチする客層でないと、お客様とのつながりは長続きしません。
経営年数と社会状況によって、店の顧客管理の手法は大きく変わってきます。
顧客管理は、お客様の期待にお応えする関係構築のためのデーターです。
しかし、店舗経営の安定期になってからは、お客様の「教化」がポイントとなります。
店は自社のポリシーを語り、スタイルを見せ、店が価値を置く世界観を顧客に問いかけるようにします。「うちはこのような店です、あなたは共感しますか?」といった具合です。
店舗の販売商品に愛着を持ってくれた顧客は浮気をしない
カスタマーロイヤルティ(customer Loyalty)は、直訳すれば「お客様の忠誠心」となります。
その店のスタイルに共鳴したお客様は、他店に浮気をすることはほぼありません。
この場合、顧客管理はどこまで店のスタイルを伝えきれたかがポイントとなります。
コアな客層を探しているなら、経営者自らが推すその世界観の中では、お客様は浮気をしないと自信を持って対応しましょう。
そのためにお客様にまず知ってもらうことが中心課題となります。
ときには商品以上に立派なカタログや試供品、奇抜な見せ筋の案内など一見、費用対効果に合わないような案内も必要です。
憧れを徹底的に演出するコンセプト系ショップの顧客管理
たとえば、ラグジユアリーブランドの専門店は、ショップスタイルに極度のこだわりを見せることがよくあります。
ブランドロゴから商品パッケージ、店員の化粧の仕方まで、店のイメージを損なわないようと経営本部から注文が入ります。それは、店舗と販売商品が顧客の憧れであり続けるためです。
お客様を固定客化するには、ただお客様に近づいて話を聞くだけでよいというものではありません。
お客様の心の底に「こんな店で買いたい」という憧れがないと、お客様へのラブコールも一方通行に終わってしまうのです。
一方、”にわか”コンセプト系ショップは、憧れであり続けることを心がけるあまり、顧客との距離をつかめずにいる場合をよく見受けます。
上得意客のためのハイイメージな店づくりやゆったりした空間、節度ある接客は、高嶺の花を演出することはできるが、そのまま収益には結びつかないことが多い。
ラグジユアリーブランドも、一流と呼ばれるところはこの固定客化に余念がない。
彼らは上得意だけのために一夜限りのパーティー会場をつくり、オリジナル限定商品を提供するなど、彼らの特別扱いは圧倒的な力を持っています。
他店を押し退けてコンセプトで勝負するなら、顧客の心を囲い込まなくてはならない。憧れと特別感を演出して自店の世界に誘うことが必要なのです。