店長として忘れてはならない「三方よし」
関西は昔から商人の町として、商売に長けた商人を多く輩出してきた土地です。
松下幸之助をはじめ、現在の日本経済の基盤を築いた企業創業者も多い。
その関西にある滋賀県の、商売上手で多くの顧客に強く支持されたことで有名な近江商人は「三方よし」の経営を重んじてきたという。
三方よしとは「世間よし」「買い手よし」「売り手よし」のこと。
「世間よし」とは、仕入先などと捉えることもできるし、企業を支えてくれている地域や関係者を指していると捉えても良い。
「買い手よし」は、形を変えながら顧客満足(カスタマーサティスファクション)として、全世界でビジネス上最も重視すべきことと定義されています。
そして顧客満足を実現するためには、企業は従業員満足(エンプロイーサティスファクション)に取り組むことが重要とよく言われています。
◎顧客満足とは
・質の高い商品をお値打ち価格で購入できる満足感
・自分が欲しい商品を欲しい時に、選んで買うことができる満足感
・買い物する時に気持ちよい店舗環境であること
・買い手重視の暖かで心のこもった接客がある
・購入後のトラブルや不具合に対しての保証がある
….など様々なものが絡み合って実現されています。
・家から近く、非常に買い物に便利なところにある
・重い荷物や大型商品は、希望すれば配達してくれる
….などきめ細かなサービスもとても重要。
実際、他人に物を販売してお金をいただくという行為は、そう簡単なことではありません。
高額商品だけではなく10円、20円という低価格の商品の購入者にも、気持ちよい買い物環境を提供し、満足を引き出すには、志とともに不断の努力や、時として強い忍耐も必要とされます。
店はお客様のためにあります。店長は、それを肝に命じ、スタッフにも理解してもらうように繰り返し語る必要があります。
お客様の買いたくなる気持ちを高め、どうせ買うならこの店でと言ってもらうための努力を、スタッフ全員が一丸となって実行していくことが大切です。
「売り手よし」の従業員満足が、顧客満足を最大限に引き出す
自分たちの店を支えるお客様に尽くすこと。
お客様から「ありがとう」の言葉をかけていただける。
そんな優秀なスタッフを育成していくために、運営する会社と店長は、顧客満足と同様にスタッフの満足を最大限引き出すことを忘れてはならない。
なぜならその店で働く従業員が、その店舗での仕事に、不満があったり、全力で働こうというモチベーションが乏しい店舗は、お客様の満足を引き出すことはできません。
だから、顧客満足を最大限に引き出せる、職場と仕事に対して満足感が高く、情熱的に業務に取り組める意識と能力の高いスタッフを育成することが、店長の最大の責務なのです。
従業員満足を実現するためには、本当の働きがいとは何か?をスタッフに教えること。
◎店舗で働くことの最大限の面白さは、実は毎日毎日お客様から学ぶことができる。
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◎より一層、お客様の目線で考えることができるようになれば更に学ぶことが増える。
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◎お客様から学び、お客様のニーズに応えることがお客様からのお礼・お褒めの言葉になり、販売実績の向上につながり収入も増え、生活が豊かになっていく。
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このサイクルをスタッフに理解させることが重要。
業績目標は、単に利益の獲得という面からだけ設定されればよいというものでもない。
成長を確認する指標として、設定することが必要です。
また業績目標だけでなく、能力や知識・技術の向上に向けた目標設定も重要です。
スタッフ各自が目標設定を行い、そのクリアに取り組む流れの目標管理制度を導入し、やりがいが失われないように工夫を行っている企業もあります。
人は最初、高いと感じていた目標を達成した時に無上の喜びを感じるものです。
誰もが自分の成長を願っているものだし、より大きなチャンスに挑戦できることを嬉しくも思うはず。
スタッフの自己成長に向けてのモチベーションが途切れない仕掛けづくりに取り組んだ店長の行為は、やがて業績として返ってきます。
報酬もモチベーションの面ではとても重要な要素です。
小売業において退職理由として、どの会社でも上位に顔を出すのが「働きがいのない職場」「目標がない中で単純作業の繰り返しばかり要求されること」などであることも忘れないでください。