経営している店舗を健全な状態で成長させるためには、店長自身が「損益計算書」を読み解く能力がなければなりません。
損益計算書の数値を比率分析することにより、いろいろなことが読み取れます。
代表的なものとして、効率的に売上が増加しているかという収益性と、店舗の成長性があります。
数字の管理は苦手だからと、大まかな判断と自分の感覚だけで店舗経営していると、破綻してしまうかもしれません。
店舗をどのように発展させるべきか?必要なことは何か?何が足りていないのか?向かうべき方向性は間違っていないのか?など、現実的な数値から様々な経営方針を検証し、実行することができてはじめて、健全経営と言えるのです。
数値の結果から原因を導くことが重要である
店長の責任の範疇は「経営方針」や「店舗への権限委譲」により違ってきます。
店舗経営者としての店長の収益上の責任は、「営業利益」を碓保することにあります。
最優先すべき数値は「営業利益額」です。
極端に言えば、たとえ「粗利益」が減少しても「営業利益」が増加していれば可であり、逆に「粗利益」が増加しても「営業利益」が減少すれば不可となります。
損益計算書を見る時は、最初に「営業利益」がどのように推移しているかを見ます。
そして、営業利益の増減の原因となる様々な個別項目、「売上」「売上原価」「人件費」「販促費」「その他の経費」の効率を検証していくことが求められます。
例えば飲食店では、粗利益率70%以上が望ましい等の「良否」の判断基準が一般的にあります。
しかし店長に必要なことは、一般論と比較するのではなく、自社の戦略通りの結果が出ているかどうか?の視点で数値確認をすることです。
収益性分析を行うための観点とは?
いかに効率的に利益を創っているかを示す指標で、代表的なものが次の3つです。
①粗利益率
売上高に対する粗利益の比率を示す指標です。
粗利益率=粗利益÷売上高×100(%)
「原価率」と二律背反の関係にあり、「原価率」を低く抑えることにより、高い「粗利益率」を実現できます。
②営業利益率
売上高に対する営業利益の比率を示す指標です。
営業利益率=営業利益÷売上高×100(%)
「人件費率」や「その他経費率」と二律背反の関係にあり、経費を低く抑えることにより、高い「営業利益率」を実現できます。
③経常利益率
売上高に対する経常利益の比率を示す指標です。
経常利益率=経常利益÷売上高×100(%)
この粗利益率と営業利益率と経常利益率の3つの数値が高いほど、効率的に利益を創っていると言えます。
経営者は利益数値から、成長性分析を行う習慣を持たなければならない
「粗利益」「営業利益」「経常利益」に関しては、「効率」の良し悪しより「絶対額」の大小のほうが重要です。
絶対額を確保するためには、いかに効率的に利益を創るか、という発想が重要です。
しかし、売上効率を重視するあまり、「利益率」が向上したのに、「利益額」が減ってしまっていてはいけません。
だから店舗経営者は、「売上」「粗利益」「営業利益」「経常利益」の額の推移(=成長率)を把握しておくことが重要です。
以上「店長のための損益計算書の見方とは? 結果と原因の法則」でした。