倉庫に溜まった大量の在庫。または、いつ来ても同じ商品ばかりが目立つ店舗。
商品が売れずに在庫が溜まっていくと、このような状態になります。
在庫をできるだけ抱え込まないためには、商品回転率を良くすればいい。
そう思うのは簡単ですが、売れなければ店舗の利益には結びつかないので、この商品回転率を正しく理解する必要があります。
その上で、様々な販売アイデアで営業を行うことが大切です。
商品回転率とは?
商品回転率とは、在庫した商品が1年間に何回入れ替わったかを示す指標です。
商品回転率(回)=年間売上÷在庫高
の算式で計算されます。
この商品回転率の数値が高いほど効率的です。
よく、「在庫は罪庫」などと言われるように、在庫が増えると、経営に様々な悪影響を与える可能性があります。
①在庫が増えると資金繰りが悪化する
本来商品の仕入れに使えるはずの資金が「商品」として眠ってしまうと、自由に使えるはずの資金が少なくなってしまいます。
これが、資金繰りが悪化した状態です。
資金繰りが悪化すると、必要な時に資金が使えないチャンスロスが発生し、金利負担の増加等で収益が悪化します。
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すぐに仕入れて販売しないと、機会を逃してしまいます。遅れて仕入れたのでは、そのまま在庫として残る可能性があるので、資金に余裕を残しておく必要が常にあります。
②作業効率の悪化
在庫が多くなれば、その分「在庫管理」のための余計な作業が発生し、その分だけ作業効率が悪くなります。
在庫管理に割く時間が増えると、そこに割く人材が必要です。また、在庫を収納しておく場所も必要です。
③商品ロスの発生する原因と対策
粗利率が低下する原因は、商品自体の劣化や、市場変化による商品価値の減少、見切り販売や廃棄措置等があります。
しかし、商品在庫を減らしすぎて、「店の魅力」を低下させれば、売上が下がり、更に商品回転率を低下させてしまう。
商品を販売している店員のモチベーションも下がってしまい、営業が悪循環してしまいます。
そうならないために、売り方を考えた商品別管理が必要になります。
戦略的に、「売れ筋商品」と、品揃えの豊富感を演出するための「見せ筋商品」をはっきりと分けて、在庫管理する必要があるのです。
特に定番の「売れ筋商品」については、発注してから納品されるまでのリードタイムを見込んで、品切れが起きないように、アイテム別適正在庫量を設定することが必要です。
中でも、趣味性の高い商品を扱う業種では、アイテムの幅が重要なため、「見せ筋商品」についても1ケ月に1回程度は商品別の販売数を把握して、定期的に商品改廃の検討をする必要があります。
大量仕入れをする前に交差比率を調べること
大量に商品の仕入れをすることで、仕入価格を下げるという手法はよく行われることです。
しかし、この「仕入価格を引き下げるための大量仕入」が過剰在庫になる主な理由の一つです。
ときには有利な仕入価格の条件を引き出すための大量仕入も必要ですが、そのためには予め確認しておきたい指標があります。
それが「交差比率」です。
交差比率は、
交差比率=粗利益率×商品回転率
の算式で求めることができます。
例えば、大量仕入により仕入価格を下げて、計算上の粗利益を高めても、それが回転(売れる)しないことには「利益」にはなりません。
どんなに「売れたら儲かる商品」であっても、販売頻度が少なければ、実質の利益貢献は少ないのです。
自社の「資金繰りの状態」や「販売戦略」も考慮した上で、粗利益率と商品回転率のバランスを図り、「交差比率」を最大化するように、店全体及びアイテムごとに、品揃えと適正在庫をコントロールすることが必要です。
以上、「在庫管理で失敗しないために商品回転率と交差比率を考える」でした。