お客様の心理と行動を予測して会話がふくらむと、購買欲もふくらむ

店頭で商品を売るために商品の名前や特長を連呼するだけでは、お客様の心を動かすことはできません。

いや、それで売れていたというのなら、その時期にテレビや雑誌等で話題になっていたとか、何かしらの理由があるはずです。でも話題になる商品は放おって置いても勝手に売れます。店頭で売りたいのは、本当は良い商品なのに、少し売れにくい商品のはずです。

もちろんお客様の心理状態や行動を予測しながら、どう売ればいいのか?というマーケティング的な視点も必要です。

しかし、接客をしながらの対面販売では、その場のお客様の心理を機敏に察知しながら、効果的なコミュニケーションを図ることが肝心です。

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商品特長はわかりやすく話を膨らませてアピールする

無添加洗剤の販売を例にしましょう。

今の社会は、健康志向が高まっています。だから無添加洗剤の商品数も増えてきていますが、1つの商品がヒットすると似たような商品が多くなり、価格もさほど変わらないものが店頭に並ぶようになります。

これでは商品の種類が増えても、お客様から見れば「どんな効果や効能で、どれがいい商品なのか?」それが、あまりよくわかりません。これではお客様の購買意欲も、迷っているうちに下がってしまいます。

販売もこういう商品には苦労します。

「無添加で〜す!」と大声で言ってみても、誰も振り向いてはくれません。

もっと商品特長を想像して、話を膨らませてください。

無添加だから、何が良いのか? お客様の反応をみながら、お客様が知りたいことを想像して、できるだけ具体的にわかりやすく語ってください。

たとえば’

「無添加で〜す。他の洗剤のように洗濯後の残留洗剤で、肌を痛めることはありません。とっても、肌にやさしい。肌の弱い方には、お勧め。

もちろん、メリットはこればかりではありませんよ。家族でお使いになれば、家族全員の肌にもやさしい。さらに、この洗剤。いわゆる化学物質は一切、入っておりません。原材料が天然ですから、河川に流しても自然にやさしい。分解されやすいんです。だから、これを使えば、川や海の水は汚れません。お魚にもやさしい。つまり、わたしたちの食卓の安全を守るためにもぜひ、お勧めです。

あと、間違って口にしても、深刻な健康被害は及ぼしません。安心.安全にこだわった商品なんです。洗濯水を流すたびに心が痛む、という方は’この地球環境にやさしいこの洗剤をお勧めします」

<本人のメリット>+<家族のメリット>+<河川にやさしいというメリット>+<「食卓の安全」に通じるというメリット>+<人体にも「安心」「安全」というメリット>+<地球環境にもやさしいというメリット>・・・このように’ どんどん話を膨らませれば、お客様の購買意欲が徐々に高まっていくはずです。

他の商品と差別化が難しい商品を販売する時には『メリットのスケ—ルをアップするテクニック』で、話を膨らませて紹介してみてください。

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接客外のお客様に商品を購入してもらいなさい

店頭で営業をしている店員の方なら、誰しも経験があると思いますが、1対1での接客中に、いつの間にか周りに他のお客様が近づいてくることがあります。

こうなると集まったお客様全員にアピールしている商品を購入してほしい!と、商売人なら思うはずです。なんとなく薄い関心を持って、ふらりと集まってきたお客様に対して、このチャンスを逃してはいけません。

この周りのお客様も巻き込んで、商品をご紹介するテクニックをお教えします。

でも、全体に呼びかけるアピールは、誰に対して言っているのか曖昧になり、お客様が「自分事」として受け止めてくれない可能性が高い。一人に対して行うアピールと、全体に行うアピールはそこに違いが現れてきます。

しかし、あるテクニックを使えば、その課題も解消できるはずです。

そのテクニックは実に簡単で、あなたの<声の大きさを変える>だけです。

たとえば、衣料販売で、ひとりのお客様を相手に接客しているその最中に、ひとり、またひとりと、お客様が売場に近づいてきました。

そこで販売員は少しだけ、声のボリュームをアップしてこう言います。

「こちら洋服。今年の流行で、当店ではあと3着しかございません。ここにあるだけです。おそらく他店に行かれても、なかなか入手困難ですからお客様、早い者勝ちですよ」

すると接客していたお客様ではなく、販売員の後ろにいて静かにその会話を聞いていたお客様が、その洋服を手にしてすたすたとレジに向かうようになります。これが販売のテクニックです。

接客相手に商品説明をしながら、接客外のお客様にも商品購入をさりげなく働きかけること。

「これは、周囲のお客様にも知ってほしい」という情報は、周りのお客様にも聞こえるように、さりげなく声のボリユームをアップをすること。

お客様の多くは、煩わしい接客を嫌うものです。しかし、接客中の販売員の会話には、興味津々、耳を澄ましているのです。

いつも同じボリュームで接客していませんか?

ひとりのお客様の接客を通じて、周囲のお客様に買ってもらえるように、さりげなく声の大きさをコントロールしてください。

お客様は「平等」に扱うこと。差別はしないのが原則

「あら〜〇〇さん。お元気?そうそう、これこれ、この商品。特別に安くするからどう?買っていかない? これも、これもサービスするわよ。この商品、ほんとお勧めなのよ」と、常連客にはこんな具合で接客していたのに、初見さんのお客様にはガラリと態度が一変し、とたんに素っ気ない態度です。「安くするから」と言ってくれないし、「これも、これも、サ—ビスするから」という声もありません。

もしあなたが初めて入ったお店のお客様だったら、そのお店で商品を購入しますか? たぶん買う気がおきないでしよう。そればかりか、「もう、そのお店には行きたくない」と思うのではないですか。

だから、店舗を繁盛させたいなら、お客様は平等に接客しなければいけません。

このような、お客様によって違う接客をする販売員は、特にご年配者に目立ちます。

「お得なサービスをしてほしかったら、お得意様になりなさい」といわんばかりの周囲に見せつけるような接客は、してはいけません。

お客様の心理として、不公平を嫌います。

もちろん、その販売員の「お得意様を大事にしたい」という気持ちがわからないわけではありませんし、サ—ビス精神は評価できます。

また、お得意様はお得意様で「私を特別扱いしてほしい」という気持ちを抱いているものです。

そこで、お得意様を特別に扱う場合は、まわりにお客様がいないかよく確認して、他のお客様にねたまれないよう、十分に注意してください。

ちなみに、「ねたみ」を販促に生かすならばタイムサ—ビスといった、誰にでも買うチャンスのある販売法を利用しましょう。

たとえば、タイムサ—ビス中に購入してくれたお客様には、特別にプレゼントをつけて、まさしく見せびらかす。そうしますと、周囲のお客様は競って、商品購入に踏み切ってくれます。

テキストのコピーはできません。