現金を直接払わずに、カードや電子マネー、バーコード決済が日常的になって、各社がポイントを付与したり、キャンペーンをして消費を促す取り組みが盛んに行われています。
カード決済やスマートフォンでの電子マネーの決済が増えたということは、今まで見えなかった顧客の姿や消費行動が明確に見えてくるようになりました。
さらに現金でのやり取りが減って業務が簡略化されると、余った労力を販売促進のための顧客管理にまわすことができるはずです。
顧客管理とは、顧客の何を管理し、そのデーターをどのように活かすのか?
顧客管理の目的を明確にしよう
ポイントカードや電子マネーなど販売システムの増加を背景に、現在では、ほとんどの企業が何らかの顧客名簿を管理しています。
集めた顧客名簿を現場で、どのように運用、活用していますか?
少し前まで消費行動が予測できるような顧客名簿をつくるために、どの店舗も企業も必死になって取り組んでいました。個人情報保護法などもあり、顧客の情報は簡単に集まらなかった時代の話です。
とこが今では、現金のやり取りが減った分、スマホ決済やポイント会員登録で、少ない労力で顧客の情報が簡単にどんどん集まるようになりました。
顧客管理には、利益の源があります。
昔のような苦労を思えば、顧客管理や分析を日々の業務として行うことも喜んでできるはずです。
しかし、簡単に顧客名簿が手に入るようになると、そこまで顧客管理を重視しなくなる店舗が多いことに驚きます。
わずかな割引ポイントをもとに、カードやLINE会員による顧客の囲い込みに成功する店舗や企業がある一方で、割引カードを導入しても全く顧客が増えず、結果的には粗利率を落としただけという店舗も多く、その必要性を漠然としか認識できていません。
対象となる顧客を分析して管理することは、どの店にも必ず必要なことです。
店舗によって、顧客管理に求める成果は個々に違いがあります。
何のために顧客管理をするのか? 店の経営を担う店長は、その目的を持って顧客管理を行なうことが必要です。
顧客管理を行なう三つの目的
① 収益を上げるための顧客の購買行動の管理
顧客の流出を防ぐための中•長期的な施策として、本当のお得意様を見極めて、お客様に見合ったサービスが効率的に行なえるように管理すること。
顧客管理というのは、現在の顧客から、より収益を上げるための手法として、顧客のクレームに対応することや、より顧客の購買行動を活発化するために行ないます。
つまり、お客様により多く(金額および頻度)、より早く買っていただくために必要な情報を整理・分析することです。
② 顧客との関係をよリ強固に築くための関係管理
どのお客様にどんなご案内(サービス)を施せば上得意になっていただけるのか?
より関係を深くするには何が必要か?
それらを考えて実行するのが、顧客管理の役割です。
特に関係が途切れそうなお客様への対応なども含まれます。
顧客管理は、お客様により満足していただくため、より期待していただくため、より支援していただくために行います。
顧客との関係性を深めるという施策は、刹那的、短絡的にはできません。
顧客の期待値を上げる、また上げ続けることは、店舗に相当な対応力が求められるからです。
その結果、多くの店舗や経営企業が現場スタッフ個人の資質. パーソナリティに任せた運営となってしまい、具体的な施策を打ち切れず、顧客を観ることをなおざりにしがちになります。
その一方で、旅行会社の会員クラブやインターネットのWEBメールなど、お客様に近づくための努力が行って、顧客との関係をより良好にするための仕組みを企画•管理しているところもあります。
③顧客分類で適切な商品を供給する客層管理
「うちを気に入つていただいているお客様とは、いったいどのような客層なのだろう?」という疑問の答えを出すべく、お客様の年齢や趣味、家族構成など多岐にわたる情報をチェックし、店舗のターゲットを掘り起こしていく顧客管理があります。
顧客管理は、お客様の購買行動や志向に合った商品やサービスの提供のために行なうという考えです。
顧客を管理するうえで求められるのは、すべての顧客に均一のサービスをすることがはたして有効か?という視点と、求められている商品が同じか?という視点です。
店舗の顧客層を俯瞰的に眺めて、何のために顧客を管理するのか、自社のお客様は何を望んでいるのかを十分に把握してから、管理の手法を考えなくてはならない。
わずかな上得意が収益の柱であることを知っているなら、顧客管理から逃げるのは仕事を放棄しているのと同じです。
顧客管理には利益の源があることを自覚してください。