お店のスタッフや部下は、店長という存在に自分の未来を投影する
小売業、飲食業、サービス業では、多くの企業で新入社員全員が一旦は店舗に配属されるのが習わしです。
本部スタッフとして採用が決まっていても、短期間でも店頭経験を積ませようという会社が多い。
店舗を持つ企業は、店舗事業の成功自体が、会社全体の事業の成功の基本であること、いくら資産がある企業であっても店頭での数十円、数百円の商品販売の積み重ねが企業全体の売上の根本であることを教えるために店頭経験を積ませます。
・お金をお客様に使っていただくこと
・トラブルがないように環境を整備すること
・お客様が満足して、気持ちよく店から帰ってもらうこと
・再来店していただくこと
これらを実際にやってみると、想像以上に難しいことがわかります。リピート客が少ない店舗の経営はとても厳しいということが実感できるようになります。
理解して欲しいことは、店長自らが先頭に立ってお客様に好かれ、そして愛される店舗づくりを進めていかなければ経営が成り立たないことです。
前向きな取り組みをしている店長は、見ればすぐにわかります。従業員ももちろんわかるし、お客様もわかるようになってきます。
愛される店づくりを進めるためには、店長が従業員やお客様に愛される存在、敬意をもって見つめられる存在となることが不可欠なのです。
小売業、飲食業において店長という職業は、花形の職業
新入社員や他の業界からの転職組も、これからこの業界でやっていけるのか、そしてこの業界で自分の夢を実現し成功することができるのかどうかを、店長という存在に自分の未来を投影して考えるもの。
だから実力ある店長はとても眩しい憧れの存在として映ります。そういう後輩の視線を心地よい責任感として捉え、店長は人格や人柄を磨いていかなければならない。そして与えられた業績を達成し、後輩に業績目標の達成を実現するための日々の取り組みの重要性を感じさせなければならない。
スタッフに愛され、尊敬される店長の一言はスタッフのモチベーションを高め、疲れを吹き飛ばす原動力になる
戦闘力の高まる店舗では、「あの店長のためなら……」ということで、いわゆる頑張りが利くスタッフが常に増えています。
損得なしに店長のためにやってやろうという気を起こさせるリーダーシップの発揮が、店長には不可欠なのです。
店長の一言と行動が、お客様に自分達の商品やサービスを、自信を持って売り込んでいこうとするスタッフの原動力になります。
「三方よし」の関係を築けるのが良い店長
お客様に愛される店長の場合
お客様の買う気を引き出し、買いたい気持ちを高めることができます。
取引業者や関係先に愛される店長の場合
商品が不足している時期にでも、メーカーや問屋の担当者から「あの店長の店には商品を優先的に回してあげたい」と思わせることができます。
この良き関係こそが、「三方よし」の関係である。
三方よしとは「世間よし」「買い手よし」「売り手よし」のこと。
優秀なチェーン店の店長の場合
店長の経験をベースにやがてブロック長、本部商品部、本部次長、本部部長、役員とステップアップして出世していきます。
同時に問屋やメーカーの担当者も優秀な人間も、年を経るごとに要職に上っていく。そしてお互いが若い時、共に売れる店づくりを考えて仕事をしたことを誇りにしながら、更に大きなビジネスに取り組むパートナーとなっていきます。
このような良好な関係が築けるように。店長は敬意をもって仕入先、関係先と付き合っていかなければならない。
そして、優秀な店長の下からは次の優秀な店長が生まれる確率が高いもの。人は先輩の背中を見て育つ。
同様にお客様と店長の関係も奥が深い。
実際に、親子三代とお付き合いをしている店長も多い。
その店長も若い時は一人のスタッフであり、上得意となったお客様も一人の顧客であったはず。
それが長い時間の中で顧客接点を大切にしながら、様々なタイミングでお客様の満足を引き出し、世代を超えた信用の獲得とファンづくりを実現したのです。
商売の基本は結局のところ、良好な人間関係づくりです。
人気のある店長の周りには多くの業者や取引先、お客様が集まってきます。そういう店長をぜひあなたも目指して欲しい。