チェーン店の店長と本部の関係とは?

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一般的に10店舗以上を展開するチェーン店の場合、本部と店舗はそれぞれで業務の分業を効率的に行い、合理的経営を追求することになります。

一般に店舗での作業は複雑でいろいろあるので、無駄が生じやすい。だから1店舗ごとに行うよりも、本部で集約させたほうがコストダウンにつながりやすい。
販売という機能と、仕入や支払いその他事務機能を切り分け、店舗は可能な限り顧客接点拡大と販売業務とに集中するように、業務の流れを設計します。

そうすると店舗の作戦の大半は本部設計となり、店舗はただ販売するだけの存在のようですが、実際は違います。

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本部機能が強すぎると店舗が画一化する

どんな企業も、通常は1店舗もしくは数店舗から店舗を立ち上げ事業を成長させていきます。企業が成長する過程で「店舗=店長の権限と力が強い時期」と、「本部の権限と力が強い時期」が入れ替わる時が訪れます。
その理由は、本部のセンターコントロール機能が強くなりすぎると、店舗が画一的になって地域のニーズと大きく乗離してしまうからです。

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◎豪雪地帯にあるホームセンターの例
・雪かき用の道具類や長靴、グリップカが強いゴム底の靴が必需品。
・雪が降らないエリアではそういう商品は不要

店舗拡大を行っているうちに、上記のように品揃えが本来違っていなければならない店舗を、本部の権限が強いと一元的にセンターコントロールしてしまう間違いを犯してしまう。

◎日本は、狭いようで広い
・東西南北に長いので季節の始まりもズレが生じる
・天候も気温も違う
・東日本では濃口醤油、西日本では薄口醤油が好まれる
・地域で味の嗜好の違いが存在する
・収穫される農産物も水産物も、大きく異なる

このように地域ごとの差異をどこまで吸収し、一様な対応でコントロールするかが、本部集中方式の難しさ。四季がある日本では特にその技術は難しいとされ、外資の企業が進出しにくい原因でもあります。

現在、均一な店舗コントロールのイメージが強いコンビニエンスストアが、本部一元管理のセンターコントロールから地域本部ごとの運営に、舵を切り出している背景にはこういう問題があるからです。

大型チェーン店も成熟期に入れば、成長期のような「大雑把なセンターコントロール」は許されなくなります。

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店長に対する仕入権限の委譲

通常、本部にはバイヤーやスーパーバイザー、ディストリビューターを配置し店舗を支える部隊として位置づけ、商品供給や運営のフォロー、指導に関しての権限を与えています。

◎本部企業が取り組む特権例
・一定の範囲の品揃えに関して、店長権限で地域別単独仕入ができる
・店舗ごとに、全く独立した仕入枠を与える
・店長が商品部に、仕入をリクエストする仕組みがある

形式はどうであれ、要は店長に対する仕入権限の委譲です。全店を統一した運営で行うことが効率的であることはわかっていても、店舗の競争力が弱まり地域での支持を失い、競合に負けたままでは元も子もありません。

そういう判断がされる時期と、地域独立型が過度に進んで、もう一度全店共通の標準化を進めたほうが良い時期というものが、時代によって入れ替わって発生します。

本部、本部スタッフのほうが偉い、いや店舗、店長のほうが偉いという論争はいつの時代にも存在するものです。
当然企業ごとに体質が違うため、商品部が歴史的に力を持っている企業や、逆に店舗のほうが歴史的に強い権限を持っている企業というものも存在するでしょう。

しかしそれらは大きな問題ではない。お客様にとっては全国チェーンであろうと、自分が生活するエリアの1店を好きになるかどうかという問題しか関係ありません。
本部と店舗はその立場にこだわる以上に、人気の店舗を作り上げるためにどう協力できるかを考える必要があります。

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