部下やアシスタントを任せているポジションのスタッフから「Aさんは、仕事覚えが悪い、全然できない」とか「言うことを聞いてくれないから、担当を変えて欲しい」などと言われた経験はないですか?
どんなに仕事ができて、いつも信頼しているスタッフでも、自分に与えられた仕事ができることと、スタッフの育成ができることは別だと考えてください。
自分に与えられた仕事がきちんとこなせて、器用なスタッフほど「自分がやるほうが仕事がスムーズに進む」と思っているので、仕事を覚える必要のある部下のやることまで手を出して取ってしまいます。
これでは、このスタッフの部下はいつまでたっても仕事を覚えられないというのは当然です。
また、気持ちが優しすぎて指示や指導することが奥手の性格である場合があります。これも「自分がやるから」と部下の仕事を取ってしまいます。
そして1番多いのが「説明するための言葉数が少ない」スタッフです。
わかっているだろうという勝手な思い込み持っている人ほど、指示や指導が下手くそである
あなたの職場での立場は、「先輩」ですか? それとも「後輩」ですか?
どちらにしても、職場で誰かに仕事をお願いしたり、教えたりする機会があると思います。
今はまだその立場にない人も、勤めている限り、これから必ずあることでしょう。
そこで、同僚への指示・指導の仕方についてお話します。
というのも、これがなかなかできない人が多いからです。
「これ、お願い」
「これ、してちょうだい」
「こうやって」
これらは指示しているとは言えません。
「これ」「それ」「あれ」なんていうのは、言っている本人は理解できていても、言われた本人にとっては、何が「これ」なのか?曖昧すぎてさっぱりわからないのです。
このような指示・指導では、特に新人は理解できず、混乱するばかりです。
それでは「わからないなら、その場で聞いて欲しい」と言うでしょうが、よっぽど親しい関係、信頼し合う関係でもなければ目下のものからは聞きにくいのが現実です。
だから新人や部下は、「たぶんこういう意味だろう」と想像して行動します。
それで上手くいけばいいですが、失敗も多く、結果この部下は使い物にならないと上に報告することになるのです。
こんな格言があります。
①言って聞かせて、②やってみせて、③やらせてみせて、④ほめてあげねば、⑤人は動かじ、です。
部下を育てることや、指示指導が上手い上司はどんなに簡単なことでも、これを実践しています。
特に、女性スタッフへの指示・指導では威力を発揮します。
②番「やってみせる」と④番「ほめてあげる」に力を入れてください。
そうすれば、女性は納得して、やる気になってくれます。
経験者への指示・指導のときは、順番を変えて、③番「やらせてみる」、④番「ほめてあげる」、②番「やってみせる」、①番「言って聞かせる」という流れがl番です。
経験者は、それなりにプライド(=自信)があるので、まずは実際にやらせて、ほめる。
でも本人のこれまでのキャリアが100%活かせるのは希です。
したがって、今度は実際自分がやってみせる。
そして、詳しく説明をして「なるほど。そうか」と納得させます。
そうすれば、角も立ちません。
進んで「汗」をかこう!
一生懸命に働く姿には、どこか人のこころを動かす力が秘められているといいます。
「自分の息子や娘を職場につれてきなさい」という会社がありますが、たいへん結構なことです。
ご両親が一生懸命働く姿をみせられた子供は、間違いなくこころが動かされて、改心に期待できると言いますから。
ですからお客様にも、一緒に働いている仲間にも、一生懸命働く姿を見せてほしいのです。
一滴でもいいから汗をかく。これが大切です。
真夏の炎天下。
店頭で汗をかきかき、仕事に精を出していましたら、微妙にお客様の態度に変化が生じてきます。
たとえば、「頑張っているね」「大変でしょう」「手伝おうか?」なんて、お客様から労いの言葉をかけてくれる。
接客にもこころよく、応じてくれる。
しかも、喜んで商品を購入してくれる。
販売員が、お客様の立場や気持ちを考えるのは当たり前。
しかし、汗をかきながら一生懸命、お仕事に精を出していると、お客様の方がこちら側の立場を理解してくれる。
こちら側の気持ちを想ってくれるようになります。
今やどこの店内でも冷暖房完備で、汗をかくという機会がめっきり少なくなってしまいましたが、一滴でもいいから汗をかく。
もしくは、そういう気持ちでお仕事に取り組んでください。
接客時、一滴の汗に勝る説得力はありませんよ。
以上、店舗スタッフ育成で大切な事は、具体的な「指示と指導」!でした。