新規開店時は、もの珍しさもあり新規顧客が集まりますが、やがて来客数が減ってきて、一定数に落ち着いてきます。
しかしそのままでは客数は減り続けてしまうので、何度もお店に足を運んでもらうように、リピーターを増やす施策が必要になります。
では「安売り」や「特売」など、テーマを決めて販売をしますか? でもそれだと余計にコストがかかってしまうし、ずっとやり続けなければ効果がないので経営を圧迫しかねません。
それにリピーターとなるお客様は「価格」よりも「スタッフの質」で満足してもらうと、信頼関係ができて長い間お店のファンになってくれるものです。
「このスタッフと会えるから」とか、「この店に来ると元気になれるとか」、やっぱり人は人の魅力に惹かれるのだと思います。
「スタッフの質」とは、具体的にどんなことを言うのでしょうか?
顧客に楽しんでもらうためのきっかけづくり
ある飲食店で働くスタッフがいました。
彼は、いつもランチタイムに一人で来店するサラリーマンの様子がいつも気になっていました。サラリーマンは一人で店に入り、食事を注文し、黙って食事をし、ひと言も会話をせず、笑うこともなく、店を出て行くのです。
彼はこうしたお客様にも、この店に来ることを楽しんでもらいたいという思いで、一つのきっかけを作ろうと考えました。だって、ほぼ毎日来店してくださるのですから。
そこでやり始めたのが、食事が終わりポケットから薬を出して飲もうとしている顧客に対して、「水ちょうだい」と催促される前にこちらから水を出すことです。
すると、「おっ、ありがとう」と顧客がスタッフに礼を言い、会話のきっかけができるのです。次第に、そのスタッフに会うことを楽しみにする顧客が増え、スタッフもそれを嬉しく感じるという人間関係ができあがっていったのです。
このスタッフは、ランチタイムに一人で来店されるお客様にも、昼食の時間を楽しんでもらいたいし、相手に「やすらぎ」や「安心」「楽しさ」などプラスの気持ちを持ってもらいたいという、純粋な気持ちでおもてなしをしたのです。
上司が見ているからとか、そのほうが自分の評価が高くなるという理由ではないのです。
動機づけには2種類があります。
◎外発的動機づけこれは、「やらないと上司に叱られる、顧客からクレームを言われるから」、または「やると評価点数が増えるから」「インセンティブがもらえるから」など、外的な要因によって行動が促されるもの。
・やると評価されるから
・やると報奨金がもらえるから
・やらないと叱られるから
・やらないとクレームになるから
◎内発的動機づけ「することで相手が喜ぶことが嬉しいから」「それをしている自分が好きだから」「この仕事が好きだから」「この店で働くことが格好いいから」など自分の内から湧き出す気持ちによって行動をするもの。
・その仕事が好きだから
・やっていて楽しいから
・やりがいを感じるから
これらはスタッフのやる気を喚起し、仕事へのやりがいを感じさせ、定着を促進するために外発的な動機づけをするものです。
外発的動機づけから、内発的動機づけを促進することが重要
なぜ内発的な動機づけもする必要なのかわかりますか?
それは、評価されることはやるが、評価されないことはやらない、インセンティブがないことには無関心というスタッフでは、顧客に目を向けた本当に良い仕事はできないし、本人にとっても単に自分の収入を得ることだけが働く目的になり、仕事を深めることをしなくなります。
この状態で店舗にスタッフを定着をさせるには、店長は常に外発的動機づけをし続けなければならないのです。
入社後数年問は、外発的動機づけによって、やる気を喚起し、仕事へのやりがいを感じさせるにしても、その後は内発的動機づけによって、仕事そのものに楽しみ、喜びを感じるようにしていくことが大切です。
そのためには、スタッフに仕事や店舗への誇りを持たせることが重要です。
以上、「スタッフが抱く仕事や店舗への誇りがきっかけに、店舗のリピーターが増加する」でした。