日々の店舗経営をしていると、予想外のことが度々起こります。
その中で、店長はこれから起きるかもしれない様々なリスクに対して、どう行動すればよいのか? 何を準備したほうがよいのか?ということを毎日考えていると思います。
売上など経理的なことや人材確保問題もあれば、万引きなどの犯罪対策や、天災などへの対策、店内外で起きる事故、自分自身の健康や生活環境の問題など、いつ何が起きても動じないように、出来る限り万全の対策をしておきたいものです。
そしてリスクマネジメントは、一度考えればそれで完成というものではなく、社会状況や店舗環境の変化に応じて、臨機応変にバージョンアップをしておく必要があります。
もし今、過去に考えたままになっている、置き去りになっている問題があれば、これを機会に考えてみたらどうでしょうか。
店長の責任になるコンプライアンス遠反とは
企業経営には、リスクが常につきまとうものです。
あなたの店舗では、日常の業務の中にこれらのリスク対策をする時間を設けていますか?。
そうでなければ、もし今、事故やトラブルが発生したら、その対応策に追われることになります。
気が動転して、何をどうすればいいのか?何を優先して行動すればいいのか?店舗スタッフや来店中のお客様に対して、何を伝えなければいけないのか? これらの対応が後手後手に回ってしまうかもしれません。
もしもその対応の遅さが、お客様やスタッフに悪い印象を与えてしまったら、お店の信用を失いかねません。
店長であるあなたは、表立って目立つような事故やトラブルは、そう簡単に起きるものではない、だから対応策は時間がある時に考えればいいやと思っていませんか?
ここで、考えられるリスクを大きく分類すると、3つあります。
・自然災害や突発的な事故との遭遇
・犯罪や事件への関わり
・組織や個人の違法行為、信用失墜
さて、この中で店長の責任において考えておかなければならないのは、組織や個人の違法行為によるものです。
それが起きると、コンプライアンス(法令遵守)違反は、営業停止などの一時的な損失にとどまらず、取り返しのつかない大きなマイナスとなります。
社会的な批判を受けて、いつも来店してくれていた顧客からの信頼や信用を失い、ひいては客離れに至る可能性があります。
そうなっては売上も上がらず、閉店に追い込まれる場合だってあるのです。
経営資源や業績に対するリスク管理も大切です。
しかし同時に、これらのリスクを管理していくのも店長の大切な業務なのです。
どんなリスクが存在するのかを、知るところから始まる
店長は店舗におけるリスクに、どのようなものが存在するかを厳しい目でチェックし、漏れ無く認識することが必要です。
店舗は、種々雑多な人々が集う場所です。
来店客だけでなく、社員やアルバイト、取引企業、業務委託先など。
それらの人々の認識不足が招く事故を、防がなくてはならないのです。
法令違反行為というのは故意にしている場合もあれば、本人が知らないうちに違反行為をしている場合もあります。
しかし、いずれにしても違反は違反です。
例えば、たまたま保管していた顧客名簿が金銭とともに盗まれた場合。
店舗とその責任者である店長は被害者です。
しかし、個人情報を外部に流出させてしまったという点では、店長が加害者であることは間違いない。
つまり店長は、被害者でありながら加害者になってしまうのです。
個人を特定できるデータを、店舗が持っていれば、流出する可能性は少なからずあります。
顧客データの収集は、固定客化を行う上で必要不可欠なことですが、そのことによるリスクを店長が認識し、重要視できるかどうかが非常に重要です。
特に個人情報保護法が施行されてからというものの、過剰なぐらいその情報管理には敏感に世間は反応します。
個人情報が少しでも漏れた可能性があると、誰かが気づけば、SNSなどで一斉に広がってしまうから、とても大変な時代に店舗を営業しているのだということを、店長は自覚しなければなりません。
管理の甘さがリスクを現実化する
店長であれば、想定されるリスクの発生頻度と、店舗に与える影響力を重視して、リスクが現実化しないための防止策や、対応策を考えることが必要です。
その防止策や対応策を、現場に徹底させるのが店長の役割です。
賞味期限管理に対するリスク
例えば、食品などの賞味期限管理は、「先入れ先出し」を徹底させることが必要不可欠です。
ところが、時間がなかったから、売場が欠品しそうになったから、という理由で先入れ先出しができなかった場合。
これには2つの管理の甘さがあります。
・先入れ先出しができるような、バックヤードの整理整頓ができてない。
・先入れ先出しの重要性が、徹底されていない。
大型ショッピングセンターであれば、賞味期限管理は鮮度管理によって実施されています。
しかし小売店の現場に立つ店長に、その意識が欠如していると、賞味期限の過ぎた商品が店頭に並んだままになり、高い確率で事故が起きてしまいます。
最悪の場合、お客様がその商品を購入して、食中毒を起こしたりしたら大変です。
店長の自己都合で、決めていたオペレーションが行われなかった場合、その先にあるリスクを店長自身が認知できなければ、事故は簡単に起こってしまうのです。
パインリッヒの法則から学べること
労働災害の発生頻度をルール化したものに「パインリッヒの法則」があります。
アメリカの保険会社のパインリッヒ氏が数値化したものです。
その主旨は「命に関わるような1件の大きな事故の背景には、原因を同じくする小さな怪我や事故が30件起きており、更に怪我や事故には至らなかったものの、現場がヒヤッとする出来事は300件存在している」というものです。
現場の「ま、いいか」を許した先に事故が起こるのです。
これが管理の甘さです。
事故は起きなかったからといって、店舗が高い評価を得られるわけではありません。
事故が起きない日常が、本来の店舗があるべき通常の姿なのです。
業績に直接結びつきやすい行動は評価していても、社会性や法令遵守の活動は軽視しがちになっていませんか?
かと言って日々、事故が起きるのではないかと不安に過ごすのも意味がありません。
店舗に損害を与えるような大きな事故には、必ずそれが起こるきっかけになるような、小さな芽があるはずです。
事故の芽は小さいうちに対策すれば、何も問題はありませんし、その方が簡単で対策にかかる経費も最小限で済むです。
店長、事故は起きてしまってからでは取り返しがつかないのですよ。
以上「店長のための店舗経営に関するリスクマネジメントとは?」でした。