店舗の経営に関わる危機は、営業を長く続ければ何度も訪れます。その経験を積み重ねることで、ある程度のことが起きても乗り越えられるという自信が育っていきます。
しかし「危機」というものは、社会情勢からおおまかに予測ができるものであっても、それが「いつ収束するのか?」という判断はなかなかに難しいものです。
豊富な営業経験が逆に経営判断を鈍らせる危険性もある
営業経験の長い店舗の店長ほど、社会情勢が不安定になり経営に関する不安材料が予測できたとしても、「これまで何とか乗り越えてきたから、このままでも大丈夫!」とこれまでの経営実績を裏付けにして自信を持って答えます。
特に比較的中小規模の店舗の店長ほど、こういう自信を持っているようです。
誰でも自分自身が築いた経験則を崩すことには抵抗を感じるものです。
例えば状況によってはスタッフのリストラを考えなければならない場面もあると思います。
経営者である店長の迷いが、店内スタッフに限らずやがて取引先や来店客にもやがて伝染していき店舗が閉店するのではないか?資金繰りに苦しいのではないか?という噂がでてくるようになります。
経営が厳しくなると予想されるなら、まず経費を減らすことに注力をしなければならない。一番即効性が高いのが「リストラ」です。
しかしリストラ実施経験のない店長は、「リストラを口に出すと悪い噂がたって資金繰りに影響がでるかもしれない」と考えがちです。
実際に店舗営業に影響が出かねないため、人材を削減して経費を減らすということに躊躇してしまうのです。
経営の縮小期においては「何を削り、どの部分に注力するか」、拡大期には「何を売り、どの部分に集中するか」が基本ルール
不況時に店舗の営業を続けるためには、資金繰りの問題が壁になります。しかし、従来のやり方は通用しません。
さらに改革を遅らせてしまうと、気づいたときにはズルズルと経済の波に飲まれているのが多くの中小店舗実態です。
中には、いつまでも「拡大期の選択」をして増える可能性を見込めないまま利益拡大を追い続け、経営不振に陥っている店舗もあります。
不況下でも新しい施策に挑戦するなら、自店に関係のある業種・商材の中で策を考えることが肝心です。
そして社会的な不況になると公的機関からの融資や助成金などが施行されることがよくあります。
このように中小店舗の経営者は現状を楽観視して、先の予測がつかないのにもかかわらずズルズルと借金を重ねているケースがあります。
すぐに従業員のリストラを行なえば、やがて人手不足になってしまうかもしれないと考え、人件費という経費を削減できないでいます。
しかし売上が減少する中で借金を重ねて現状を維持しても、店舗もスタッフもお互いに疲弊して不幸になる可能性があります。リストラをすることで経費を浮かせて店舗を維持し、辞めたスタッフも新たな職場で不安なく働くことができるのであればお互いに幸せです。
不況下の中でもユニクロがなぜ売れているのかというと、しっかりと何を販売し、その商品のどの部分に注力をするかという検討と検証を行ったうえで拡大に挑戦しているからです。大量生産を背景に、材料費などのコストを徹底的にカットし、値段を安く抑えます。それと同時に、ブランドコンセプト確にして、それに見合ったクオリティの商品を用意します。そうした考え方と行動が、海外展開などをはじめとしたユニクロの拡大を支えているのです。
危機的な経営状況になりそうでも店長として過去の経験にとらわれず、自身に慢心することなく、初心を忘れずに店舗経営に勤しむことが大切です。
以上、「忍び寄る経営危機。「このままでいい」「いまのままでいい」そんなはずはない」でした。