最近のニュースを見ていると、企業努力とは経費削減であると言っているように勘違いしてしまいそうになります。
それは店舗運営でも同じことで、店長は店舗の運営持続のために、無駄な経費はどこかになるのではないかと、日々目を光らせていると思います。
しかし、削ることにばかり神経を使っていては、本来見通さないといけない営業目標がぼやけてしまいます。
経費節約はとても大切なことですが、未来へ向けた投資も大切なことに変わりがありません。
将来さらに店舗が進化して発展するように、前向きな利益確保を目指していかなければならないのです。
節約とは効率的に経費を使い、利益を最大化する発想をすること
店の経営のためには、いろいろな経費が必要であり、店長にはその経費をいかに削減するかが問われがちです。
しかし、絶対にブレてはいけないことは、店長に求められる本来の役割は、最終的に営業利益をいかに増やすかということです。
「いかに経費を減らすか」ではなく、「いかに効率的に経費を使い、利益を最大化するか」という発想に立った「コストミックス」が必要となります。
店長として「この経費は営業利益につながるか否か」を、意思決定の判断軸としなければならないのです。
ただ単に削れるところを、どんどん削るというコストダウンではダメなのです。
「コストは効率が重要」であり、「原価」「人件費」「販促費」など、時としてトレードオフの関係で作用する経費項目を個別に、また総合的に検証する必要があります。
代表的なコストミックス手法「FL比率」
飲食店では代表的なコストミックスの手法として、よく「FL比率」という指標を使います。
FL比率とは、売上高に対する食材原価(=FOODコスト)と人件費(=LABORコスト) の比率を示した指標です。
この数値が低いほど、営業利益率が高くなります。
しかし、一般的傾向として、加工度の高い食材(温めるだけで提供できるレトルト食材など)を使えば原価率は上がりますが、その分、調理にかかる人件費は低くなります。
逆に加工度の低い食材を使えば、原価率は低く抑えることはできますが、その分、調理にかかる人件費が増えるという二律背反の関係にあります。
この食材原価と人件費の2つのコスト合計額を、いかに適正に抑えるかという管理指標です。
実はこの指標は、小売業ではあまり使われていません。
しかし、非常に重要な視点を提供してくれます。
仮に、仕入価格が高く粗利益率が下がったとしても、自社スタッフの作業量が減り、増えた仕入価格以上に人件費を低く抑えることができるならば、それを選択すべきです。
しかし、仕入価格が安く粗利益率が上がっても、それにより自社スタッフの作業量が増え、人件費が増えるならば、それを選択すべきではないという判断軸であるからです。
実際に大手アパレルでは、製造流通センターの出荷段階から、店頭での品出し作業を軽減し、販売スタッフが販売に専念できるようなオペレーションをとっています。
ただ今までのやり方を踏襲することなく、また何か一つの指標や項目にとらわれることなく、多面的にコスト効率を分析・検証しながら、どのコストにお金を使うのか、どうすれば最終的な「営業利益」を増やすことができるのかという視点で、「コストミックス」(組み合わせ)を考えることが求められます。
細かく数字を分析するのは、「節約」が目的ではない。
常に全体最適、つまり営業利益の最大化を実現するための分析が大事なことです。
以上「店舗の営業利益を高めるための経費管理のアイデア」でした。