クレーマーはお客様ではない。対応は後送りでよい

飲食店や衣料品店など店舗で商品を販売するサービス業であれば、大なり小なりお客様からのクレームは避けられません。

チェーン店などでは、クレーム対応に関して業務マニュアルが用意されています。しかし、クレームが起きた時にマニュアル頼みで、どのお客様にも同じように対処したのでは、さらにやっかいなことになります。

相手は人間です。100人いれば100通りの性格があるのでその人に応じた対応を臨機応変にしなければなりません。マニュアルは参考程度に考えたほうがいいでしょう。

さらに、同じ日本国内でもお客様の反応には地域差もあります。よく言われるのが地方では人情味があふれていますが、都市部になるほどビジネスライクでクールな反応になります。だから、都市部ほどクレームへの対応が難しくなります。

クレーマー

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関東と関西のクレームの違い

大阪のお客様のクレーム

ある意昧どんな些細なことでも口をだしてきますが、根にもたす愛のあるクレームをつけてくれることが多い。

関東から関西に転勤でやってきた店員なら、大阪のお客様からのクレームに恐怖を感じるのではないでしょうか。

「兄ちゃん、厳子の皮、破けてたで」

「なんや、1200円もとって、これっぽっちかいな」

こんな文句は嫌というほど聞かされます。いい素材を使った創作料理だと自信があるなら、決して値段のわりに量が少ないということはないでしょう。しかし、大阪のお客様の特長は小さな文句をたくさんいったあと、ぽつりと真顔で、もっと大事な注意を与えてくれるのです。

「兄ちゃんな、床ちゃんと拭いとけよ。すべるで」

これは、非常に重要なアドバイスです。床がぬれていてお客様が転んだりしたら大変です。もちろん従業員が転んでもろくなことはありません。

だからといってクレームを言うお客様が来店しなくなるかといえばそうではなく、翌日も来店してくれます。そして、自分が指摘したことが改善されていれば喜び、このお店は良いなぁと褒めて、来店客を増やしてくれるのです。

東京のお客様のクレーム

東京のお客様は何か不快なことがあっても本心は隠して、「ごちそうさま。おいしかった」といって、二度と来てくれないことが多い

ヨーロッパも東京と傾向が似ています。ヨーロッパの人々はスマートに食事をしたがるので、クレームをつけること自体がその場の雰囲気を壊し、悪いことだととらえます。

「せっかく食事に来たのに、不愉快な気持ちにさせられた。こんな鈍い従業員しかいない店にはもう来るのはやめよう」というわけです。ですから、従業員としては自分の落ち度に気づくことができません。

しかし、大阪をはじめ地方でも東京に似てきています。だから店舗にとって、クレーム対応はどんどん難しくなっています。

ここ数年、FacebookやTwitterなどSNSで、クレームを発信する人が目立っています。

お店に直接言うのではなく、匿名で発信できるインターネット上のツールを使うことが増えているので、クレーム内容も非常に厳しいものになっています。

お客様によって、不満のあり方も求めているものも違います。それを一律の方法で解決しようとすると、大きな禍根を残すとことになりかねません。

結局は、一人ひとりのお客様を見る目が必要になるのですが、それは簡単なことではありません。

これも経験を重ねて、失敗を重ねて身についていくものです。クレーム対応などあまり経験したいことではありませんが、経験を重ねた人間は間違いなくお客様を見る目ができてくるのです。

従業員のまずい対応が、クレーマーを育てている

あなたが、あるスーパマーケットの売り場担当だったとします。遠くでお客様の怒鳴り声が聞こえたので駆けつけました。アルバイトの女性はお客様の剣幕にいまにも泣き出しそうです。

お客様が怒っています。よく理由はわからないけれど、かなり怒っているようです。こんな場面に立ち会ったとき、あなたはまず何をするべきでしょう。「なんにせよ、怒らせてしまった理由があるのだから、ます謝るべき」と答える人が多いのですが、これはかなり危険な方法です。

「申し訳ございません」

「何が申し訳ないと思っているの?」

「私どもの対応に失礼があったようで」

「だから伺が失礼だと思っているの?」

ただ単に謝るだけでは、どんどんヒートアップして、やがて、お客様が悪質クレーマーと同じようなことを言うようになります。

このように従業員のまずい対応が、クレーマーを育てていることもあるのです。

謝る前に、まず大事なのは事実確認

お客様がなぜ怒っているのか?

すでに理由がわかっているときには、「ご注文の晶をお約束の日時にお渡しできなかったとのこと、大変に申し訳ありません」などと、その事実に関してはきちんと謝ります。

しかし、怒っている理由がわからない場合は、相手がどんなに感情的に怒っていても事実確認をするのが先なのです。

「何か不手際がございましたでしょうか」

こう話しながら相手を見極めます。

普通、何かの理由で怒っていても、その理由をこちらがきちんと聞くことで、お客様の気持ちは次第に落ち着いてくるものです。

「今日の午後には渡せるって伝票に書いてあるじゃないの」

「申し訳ございません。ただいま問い合わせましたところ、大雪で高速道路が封鎖され、到着が遅れているようです」

こうして事実関係を説明しているうちに、わかってくださるお客様が多いものです。できないことはできないこととしてわかってくださるお客様に対しては、その場で全面的に謝罪をして構いません。

「遅れている様子をもう少し早く把握できれば、こちらからご連絡もできたのですが。わざわざお越しいただきましたのに、本当に申し訳ありませんでした」と、こちらの非を認めて謝ってもいいのです。

怒っているのは本当のお客様?それとも悪質クレーマー?

しかし、本物のクレーマー相手には、迂闊なことを言うのはやめてください。

「そうだ。連絡をくれないのが悪いんだから責任とれよ。大事な取引先に渡す予定だったのに、おまえらのせいで仕事にならない。いくらの損害になると思っているんだ」などと、どんな言葉尻でもとらえて、文句のネタにしてきます。

ですから、最初の段階で、そのお客様が本当のお客様なのか、クレーマーなのかを見極める必要があります。

眼の前の客が悪質なクレーマーである可能性を少しでも感じたら、そこで解決しようとせずに、むしろ先延ばしします。

「上司に報告し、後日お詫びにうかがいます」といって、後送りしてしまえばいいのです。

クレーマーは、自分の情報は渡さずに、一方的に相手を追い詰めるのが好きですから、総じて自宅に来られるのを嫌がります。

こうして、とりあえず後送りして大事なお客様のサービスへと戻るのが最優先です。

従業員の中には、相手がクレーマーだとわかると必要以上に怖がり、急いで対応しようとする人が多いのですが、これでは相手の思うままになります。

後送りすることに気がとがめるなら、クレーマーになった瞬間から、その人はお客様ではないということを自分に言い聞かせましょう。

お客様と違うのですから、後送りしてかまいません。

そして、クレーマーではないお客様からのクレームには、真塾に対応しなくてはなりません。

大事なお客様からいただくクレームは、自分のサービスを見直し向上させる貴重な機会です。こうしたクレームをないがしろにするようでは、優秀な従業員になれるはずもありません。

だからこそ、こういった愛情あるお客様からのクレームと、クレーマーからのいいがかりを一緒にしてはいけないのです。

「クレーマーはお客様ではない。後送りしろ」と言うのは、本当に大事なお客様からのありがたい苦言にいつでも耳を澄ましておいて欲しいからです。

以上「クレーマーはお客様ではない。対応は後送りでよい」でした。