少し前までTwitterなどで、店で悪ふざけをした動画が投稿されたり、恐喝まがいの行為をした様子が投稿されたりして、それが連日テレビで報道されるなどして社会問題になりました。
特に理不尽なクレームを言って、店舗スタッフに土下座させる様子を投稿するなど、悪質なものが増えています。
昔と違ってSNSを利用して拡散させるなど、トラブルの内容も変わってきました。
こんな悪質なものではなくても、店舗を営業していれば、商品や接客に不備があって、お客様からその場で直接クレームが入ることはよくあります。
商品管理を徹底していても、実際にお客様が購入されてから自宅で気がつくということもありますし、衣料品ならサイズ違いなどもあると思います。
接客に対しても、ちょっとした言葉の行き違いや、働いて間もない店舗スタッフの配慮不足などがあるのは普通のことです。
だから、正当なクレームは店舗側が誠心誠意を持って対応することで、穏便に事は収まります。
しかし、そんな店舗の姿勢を利用して、お金を得ようと、わざと不当なクレームを付けてくる人がいます。
そのようなクレーマーに対しては、どのように対応すればよいでしょうか?
クレーマーには心理的、利得的の2種類がある
正当なクレームには誠心誠意、真摯に対応し、お客様に納得していただき、また来店していただけるように促すことが必要です。
クレームを処理が終わったと安心するのではなく、肝心なのはそのお客様がまた気持ちよく来店して、商品を購入していただけるようにすることです。
クレームというのは、お客様が店舗に対して「ここを直して欲しい」という改善要求であり、お客様からの重要なアドバイスでもあります。
しかし、そのような善意のお客様ばかりではありません。
クレームの範囲を逸脱し、トラブルを引き起こすお客様、いわゆるクレーマーも存在します。
クレーマーは、クレームを申し立てること自体を目的とし、店舗のわずかなミスに対して無理難題を押しっけたり、不当な要求を行うのが特徴です。
アミューズメント店などで、「××円も使ったのに全くヒットしない。いったいどうなっているんだ」と大声を上げるお客様もいますが、これはクレーマーというより、ストレスの発散に近いものです。
もっとも、常識を逸脱したものであれば、クレーマーに相当するケースも出てきます。
そのような場合には「当店では警察の指導のもと、法にのっとった営業を行っております」と、しっかり答えることが必要です。
さらに何かあった時には、すぐに警察に連絡できるように仕組みを整えておくことも重要です。
あまりに執拗なクレーマーがいるなら、弁護士にも相談するほうがいいでしょう。
もし店舗内でクレーマーに何か言いがかりをつけられたら、1人では対応しないこと。
警察が来ても、言った言わないの話になってしまう可能性があります。
必ずもう一人、店舗スタッフに立ち会ってもらうなど、2人以上で対応することが後々のことを考えると大切になります。
電話の場合は、できるだけ録音してください。
<クレーマーの代表的なタイプ>
- 文句を言いたい、謝罪をさせたいというだけの「心理的クレーマー」
- 金銭や謝罪の物品要求を目的とした「利得的クレーマー」
<クレーマーに対する店舗の基本対応>
- 真撃な姿勢で対応しながら、相手の主張を認めない
- クレーム内容が店舗スタッフなど個人に対するものでも、個人として対応することなく、会社として対応する
- 「代表者を出せ」などの主張には応じない
- 言った言わないの問題に発展しそうな場合には、経過を記録し、その内容を録音します。
※録音する場合は、そのことを相手に伝えて了承をとらないと、また新たな非難の理由となりますので慎重にしましょう。
- どうしても解決できない場合には、司法(法律)の有効活用も考える。
上記の大原則を踏まえて、店長として毅然とした態度で臨みたい。
「心理的」クレーマーへの対応
<心理的クレーマーの特長>
- 筋道を立てて理論的に口論することを望むタイプ
- 感情的に精神論と「あるべき論」を主張するタイプ
<心理的クレーマーへの対応方法>
- 相手のペースに乗らないこと
- 真撃な態度をとりながら、話を聞き続けること。
否定的な態度を見せると、それを非難の対象として、更に問題をこじらせるような発言を招くことになります。
同意できるところは同意し、改善の意思を見せることです。
相手を立てることで、相手の優越感や納得感を引き出していきます。
「お客様のおっしゃることは、ごもっともではございますが、当店としては最善を尽くしております。ご理解をいただけませんでしょうか」。
これが、この場合の代表的な言い回しです。
「利得的」クレーマーへの対応
<利己的クレーマーの特長>
- 企業の隙を見つけ、それをクレームのネタに計画的に行動する
- 過去に優遇された(費用を支払わずに済んだ)などの経験から、同じ対応を要求してくる
<利己的クレーマーへの対応方法>
- 金品の要求に応じてはいけない、非を認めてもいけない。
利得的クレーマーは、「誠意を見せろ」「このままですむと思っているのか」などの言葉を口にすることが多く、このような脅しに文句に乗ってはいけない。
相手が個人で行動しているにしても、組織的に行動しているにしても、一度要求に応じると、再発やエスカレートした要求になってくることが多い。
- 相手に主張をしやすい環境を作らない。
例えば、自店舗側が複数で対応にあたる、交渉では来店をいただき、先方への訪問はしないなど。
どちらのタイプのクレーマーに対しても、「会社としては、誰に対しても同様の対応をしている」ことを丁寧に伝えることです。
「どなた様にも、同様にお願いをして、どなた様にもご納得をいただいております」。
それでも引き下がらない、あるいは度を越すような執拗さであれば、法的手段に訴えることを示唆します。こうすると、引き下がることが多いものです。
店長として、毅然とした態度で、同じことを繰り返さない対応が必要です。
また店舗スタッフに対しては、対応のスタンスを浸透させていかなければならない。
ここまでは実店舗のクレーム対応であり、増加傾向にあるネットショップには当てはまらない場合がありますから、注意してください。
ネットショップに関しては、別の機会に掲載したいと思います。
以上、「お客様との店舗内トラブルと執拗なクレーマーへのクレーム対応」でした。