店舗に新しく入った従業員に、最初に何から教えますか?
職場の案内ですか? 従業員の紹介ですか? 職場によって違うと思いますが、やはり基本は挨拶から教えるのではないでしょうか?
最初は先輩に付きながら研修をさせると思いますが、研修中でも現場に立っていると1人で判断して対応しなくてはいけない場面に遭遇することが多々あります。
そんな時、挨拶もできていないとお客様や取引先の人の印象を悪くしてしまいます。
小学校で習う単純な挨拶ほど大切
「おはようございます」
「いただきます」
「ありがとうございます」
「よろしくお願い申し上げます」
「お先に失礼いたします」
このような小学生で習うような基本の挨拶を、相手の目を見て言えるのが普通です。
そんなことは誰にでもできるでしょうと、思うかもしれません。
しかし、慣れていないと「相手の目を見て挨拶する」ということができません。
相手の目を見て挨拶したり、話をするのが接客では基本中の基本ですが、なかなか目を見て話すというのが苦手な人が多いようです。
何も難しいことではありませんが、この苦手意識を克服しないと心のこもった接客はできるようになりません。
また、簡単なことだから誤魔化しがききません。
本当に心がこもっているのか、それともなおざりにいっているのかが、すぐに相手にわかってしまいます。
きちんと相手の目を見ること。
相手の目を見れば、気持ちがこもっていない挨拶をするほうが難しい状況になります。
先輩スタッフの目を見て、「おはようございます」と言えないことでは、お客さまに、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と心をこめて言えません。
一流ホテルや老舗の店は、社員同士の挨拶も非常に徹底されています。
自分たちが気持ちよく挨拶し合えないで、お客さまに気持ちのいい挨拶ができるはずがないということをしっかりと理解しているからです。
お客様が店舗スタッフを見る目は、とても厳しいものです。
笑顔で接していくれていても、実は店舗スタッフの人となりをしっかりと観察しています。
そして、不満を持ったお客様の声は、店舗スタッフ本人たちには届かないのです。
同僚のスタッフの前では笑顔を見せないのに、お客さまの前でだけ、素晴らしいスマイルが出る店舗スタッフなどいません。
本人ができていると思っていても、お客様はうんざりしていると気づかねばなりません。
また、そういう人に限って、基本の挨拶をパ力にして、やたらと難しい挨拶をしたがります。
経験を重ねれば、普段使わないような上級の言葉を使いたくなるのはわかりますが、基本の挨拶で相手に心が伝わることが最優先です。
たとえば、天候の悪い日よく使われる、「本日はお足元の悪いなかをわざわざお運びいただきまして・・・」という挨拶も、お客様の目から見ると、いかにも暗記して使っているという感じがしてしまうことがあります。
それに、新人が相手の目を見ながらこんな言い回しをしたら、途中で舌をかんでしまいます。
そんな無理をせずとも、「雨のなかをありがとうございます」と丁寧に目を見ていえばいいことです。
これで不快に思われるお客様はいないでしょう。
それに、無理に難しい言葉を使おうとして、日本語自体を間違っている店舗スタッフも結構いるのです。
例えば、「とんでもございません!」という言葉ですが、どこが間違っているかわかりますか?
「とんでもない」という気持ちを丁寧に言いたかったら、「とんでもないです」というのが正解です。
サービスの専門家でも間違ってしまうのは、中途半端に難しい言い回しを取り入れているうちに中途半端なまま身についてしまうからなのです。
だから特に難しい挨拶は使う必要ありません。
基本的な挨拶で、お客様に気持ちを伝えられるように訓練を徹底しましょう。
接客時に使う基本的な挨拶
いらっしゃいませ
「いらっしゃいませ」は「いらしてくれてありがとうございます」という感謝の意味と「ぜひいらしてください」という呼びかけの意味があります。
そして必ず来店客の目を見て、笑顔で挨拶をしましょう。
ありがとうございます
お客様に感謝を伝える基本的な接客の挨拶です。
大切な時間を使って来店してくれたり、さらに注文や購入をしてくれたお客様への感謝、気遣いへの気持ちを伝える言葉です。
さらに「ご来店ありがとうございます」のように、何に対して「ありがとう」なのか、目的を明確にして言う方が良いです。
お帰りのお客様には忘れずに「ありがとうございました」と言います。
かしこまりました
注文などお客様から何らかの依頼を受けた時などに「承りました」という意味で使います。
「これ、ください」に対しての「かしこまりました」になります。
ただ単なる「わかりました」ではなく、「お客様の仰られたことはわかりました」という丁寧な言い方をするので「かしこまりました」になります。
お待たせいたしました
接客で注文を受けた時に、提供するまでに客様はまだかまだかと待ってくれます。
自分でも経験があると思いますが、何も言われずにただ待たされると、だんだんイライラとしてきます。ましてや後から注文した人の方が、先に対応されてしまうとなおさらです。
しかし「お待たせしました」の挨拶で印象がかなり変わります。
本当に待たせた時には「お待たせして申し訳ございません」が基本です。
少々お待ちください
お客様にどうしてもすぐに提供できない、対応できないことが前もってわかっている場合は、正直に「少々お待ちください」の一言を伝えることが大切です。
具体的な時間も言えるなら「5分ほどお時間いただきます」と、待たせる時間も伝えておきましょう。
恐れ入ります
これは「恐れ入りますが…」という「クッション言葉」と言われる言葉になります。
お客様が店に対して気を利かせてくれたときや、行為に、感謝と謝罪の意味を込めて言います。そして、お客様に話しかける際に使います。
失礼いたします
「失礼いたします」はお客様が会話中や、1人で何かをされている時に、割り込んで何かを行う時に使う言葉です。
飲食店では注文品などをテーブルに載せる時に使います。
商品紹介時には、お辞儀を上手にしながら使うと、印象が良く見えます。
申し訳ございません
クレーム対応や店舗側がお客様に対して迷惑をかけてしまった場合や、接客時にミスをした場合など、謝罪する場面で使います。
経験の浅い新人スタッフなら、日頃の癖で「すいません」と言うことがあります。
でも、これは逆にお客様をバカにしているように聞こえる場合があるので、要注意です。
お客様に嫌な思いをさせてたいへん申し訳ない、という気持ちを込めて言いましょう。
その時の表情も大切です。
以上「接客の基本となる挨拶の考え方」でした。