老舗や一流店と呼ばれるには、それなりの理由があります。
商品などハード面はもちろんですが、特筆すべきは接客というソフト面です。
お客様に対する本当のサービスは何か?ということを学ぶ上でもとても勉強になります。
あなたにとって、老舗や一流店のイメージとは、どんなものでしょうか?
高いレベルの接客とサービスを学べ
たとえば世間でよく知られる老舗と言えば、ホテルならホテルオークラ。服飾なら英国屋、和菓子なら虎屋という具合にちょっと考えただけでも思いつきます。
この他にもイメージする人の生活形態や好みによって、老舗の価値判断は人それぞれでしょう。
老舗の定義については、さまざまな意見があるでしょう。
そんな老舗や一流店に望むことは、いうまでもなく高いレベルのサービスだと思います。
老舗が提供するのは、お客様が安心して身を委ねられる、任せられるという信頼おけるサービスです。
例えば、両親が金婚式を迎えるので、豪華な旅行をプレゼントしてあげようと考えたとき。高齢の両親なら、心くばりの行き届いたところが安心なはずです。
「あそこなら、きっと両親が困るようなことはないだろう」そう思って、高いお金を払って老舗や一流の宿泊施設を選びます。
そして、両親からよかったという報告を受ければ、やっぱり○○は信頼ができると納得するでしょう。
しかし、どんな些細なことでも、何か不満要素があったなら、評価は印象の悪いものに変わります。
また、ご主人の定年退職を祝って、仲間が食事会を開く際に、当日皆さんにお礼のお菓子を配りたいと考えたとき、どこのお店に行けばいいのか、選択基準を考えてみてください。
きちんと予約に応えてくれて、信頼おけるのは当然として、こういうケースで望まれるのは、たんに美味しいだけではなく、きちんとした商品をしっかりと包装して、雨が降っていれば濡れないようにビニールをかけて、時間通りに用意しておいてくれること。
どんな事情があろうとも、これらの要素が何一つ欠けてはならないのです。
近所にある普通のお菓子屋さんに頼むと、三分くらい待たされたても平気ですし、注文した個数が間違っていても、店員に言って訂正してもらえればいいだけです。
ところが信頼していた老舗でこんな目に合うと、期待を裏切られた気持ちでいっぱいになります。
もちろん老舗では基本的なミスというのは、ほとんど発生しません。
いえ、ミスそのものが発生しないように日々気をつけています。
しかし、それでもクレームはつきます。
ミスがないのになぜクレームが発生するのかといったら、お客さまの要求のレベルが非常に高いからです。
これはクレーマーと呼ばれるような人たちの、無理な要求のことではありません。
その店舗を信頼しているお客さまの要求であり、また、老舗や一流店は何とかそのむずかしい要求をかなえていこうとするから、さらにサービスのレベルが上がっていくのです。
老舗とは、古い格式の上にあぐらをかかず、常に進化のハードルを超える努力を続けている
老舗のサービスは、昔から変わらないように見えて、絶えず高いハードルを自らが作って越えています。
それが老舗であり、一流店なのです。
接客やサービス業をしているなら、本当にサービスを極めようと思ったら、大いに学ばなくてはなりません。
そして、彼らに学ぶときにもっとも重要なことは、老舗や一流店ほど基本がしっかりできているということです。
基本がしっかりできていないのに、ハードルを上げても越えることができません。
店舗スタッフも、時には実際にお金を使って老舗のサービスを受けるというのもいい勉強になると思います。
以上「商売の基本は老舗から学べ」でした。