書類選考を終えて、面接をして採用したいと思って内定を出したら断りの連絡が入ってしまった。これは最近よくある傾向で、面接をした人事担当者にとって頭の痛い問題です。
ここは求職者の立場になって、面接時の会社側の応対が印象に残るものであったか? 求職者に対するフォローができていたかどうか? 見直し見てもいいかもしれません。
どんなに仕事内容が良くても、それは会社側からの目線なのでもしかすると一方通行になっています。採用は双方の信頼関係があって成り立つものだと思うので、考えてみましょう。
お金をかけずに求職者を引きつけるためには
求人応募が集中する会社っていうのは、ただたんに業績や規模が大きいからという理由だけではありません。求職者がその会社のファンだからです。製品やサービス、宣伝を通じてファンとなり、より多くの求職者を集めています。
しかし、それは短期間にできるほど甘くはありません。どんな人気企業も、長い期間をかけて自社のブランドを作り上げているのですから。
求職者に会社のファンになってもらえれば、内定で断られることもありません。そこで面接に来た求職者を、短期間に自社のファンにさせる手法があります。
難しいことは必要なく、ちょっとの手間でできる。今回は数多くある手法の中から、とりわけコストがかからず、効果的に求職者を引きつける手法を3つ紹介します。
面接の前段階で求職者を引きつけて、好印象を残す
①ウエルカムボード
サービス業が既に実行している手法。ボードに書くべき項目は至ってシンプルで、氏名と「ようこそ」の文字のみ。求職者の年代に合わせてポップ感、高級感を出すように色や字体を変えます。
②ウエルカムカード
結婚式場と同じように席に名前入りのウエルカムカードを置き、面接に来てくれたことへの感謝を伝えます。求職者の緊張をほぐすため、先輩スタッフからの応援メッセージを添えて机の上に置いておくと更によい。
③サンキューレター
説明会・面接に参加してくれた求職者に対するお礼状。合否にかかわらず送ることで、合格者にとっては自社で働くためのモチベーションアップにつながり、不合格者に対しても、今後自社のお客様としてファンになってくれることが期待できます。
通常、採用活動において企業・店舗側としては、こちらが選ぶという意識になってしまい上から目線でものをいう面接担当者がいます。でもたくさんある会社の中から、自社・自店を選んでくれたことに対して、もっと感謝をしなければならないのです。
そういった考え方をより具体的に、以上の3つの手法で表現したほうがいいのではないでしょうか。もちろん、お金をかけて会社案内、採用用ムービーを作成するなども効果的です。しかしお金をかけずに、こういったちょっとした気配りをするほうが、求職者を自社のファンにさせることは間違いないでしょう。
求職者をツメる
面接慣れしている特に新卒者に本音を引き出そうと思っても、相手も場数を踏んでいる分、難しいものです。そんなときは、圧迫面接と同じように上からモノを伝える「ツメの面接」をあえてやってみると効果的かもしれません。
これは求職者の本音を探る際にいいと思います。しかし注意しないと単純にツメて終了では、引きつけるどころか、求職者からの評価を落としかねない。「肝心な時にしか求職者の目を見ない」「想定外の質問を答えさせる」「求職者が話さなければいけない雰囲気を作り出す」などは、圧迫面接の要素が強い、普通のツメる面接と変わりない。
では、どのようにツメる面接が求職者を引きつけるのだろうか。答えは面接の最後にあります。
一通り面接を終えた時点で、「きつい質問や意地悪な質問をして申し訳ない。私たちは無責任な採用をしたくない。採用するからには、必ず楽しく幸せに働いて欲しいから、あなたが本当にうちで働くことが適切かどうか見極めるために厳しいことを言ったんだよ」と伝えよう。
この、たった二言のフォローで、逆に自社に対する印象度は上がります。ただ勘違いしないでいただきたいのは、面接の基本的な姿勢はあくまで「長所伸展の選考」であること。短所を見つけるのは三流の人でもできます。短所を見つけてから長所を見るのは二流の人のやること。一流がやるべきことは、長所を見つけてから短所、すなわちツメるべきポイントを見るようにすることです。
3つ目は「選考手法」で求職者を引きつける
100名の求職者を3回の選考で3名に絞り込まなければならない場合、次のように選考します。
・一次選考通過10名(5)
・二次選考通過8名(4)
・三次選考通過3名(3)
ここで大事なのが( )の中の数字です。この数字は実際の合格ラインの求職者数です。
単純に合格ラインにいる人材を次の選考に進ませるのではなく、それ以下の求職者も次回選考へと進ませます。これによって求職者は人気企業・店舗で働くという意識になり、モチベーションが上がります。また、複数回の面接でモレのない選考が可能になります。
以上「採用したいと思える求職者を引きつける面接法」でした。