求人する側も求職する側もどのように行動し、どのタイミングでアプローチをかけていけばいいのか、年間を通じて駆け引きが繰り広げられています。
良い人材が集まらないからと言って闇雲に求人広告を出しても、経費が無駄になるだけです。
中小企業や店舗であれば、大企業の隙間を突いて求人するなど、求職者の行動を見据えた採用計画を立てていると無駄がありません。
求人と採用はマーケティング活動そのものです
現代のマーケティング活動とは、平たく言えば、「顧客=市場」に焦点を当て、価値の創造を行うことです。
採用で言うマーケティング活動とは、「求職者=市場」に焦点を当て、自社・自店の価値を創造し、人材採用のために活動することです。
そういった視点で採用活動を考えた時に重要になるのが、求職者の動向に合わせた「年間採用スケジュール」を立てることです。
求職者動向に合わせて年間採用スケジュールを立てることの利点は3つあります。
①採用繁忙期に合わせて効果的に活動ができる
②採用コストの削減ができる
③採用活動を自社の経験知として蓄積することができる
採用繁忙期に合わせて効果的に活動ができる1つ目の利点は通常のマーケティング活動と同じで、年間を通じて求職者の母数は一定ではないこと。
季節指数や、その時々の経済の流れに合わせて求職者の動きも変化します。
その動きに合わせて求人広告を掲載することで優秀な人材を採用することができます。
2つ目の利点は、年間採用スケジュールを立てると採用コスト削減ができるということです。
年間の採用予算を決めずに、ただなんとなく人手が足りなくなったから求人広告を出すという活動を繰り返すと、当初予定していた予算をはるかに超える採用コストがかかってしまいます。
1年を振り返って求人のために使った経費を調べてみましょう。
たぶん計画無しにやっていると、その数字を見て驚くことになるかもしれません。
年間採用スケジュールをしっかりと立て、応募が多く集まるポイント(時期)を押さえ募集をかけることで採用コスト削減にもつながります。
3つ目が、年間採用スケジュールを立てて管理することで、次年度の採用計画の参考にすることができ、採用活動を経験知として積み上げることができること。
そのため、年を追うごとに自社・自店の業態・エリアに合った効率的な採用活動を行うことができるようになります。
年間採用スケジュールはどのように立てればよいのでしょう?
押さえるべきポイントは3つ。
自社・自店の繁忙期を把握すること。
自社の繁忙期には人員はどうしても豊富に欲しい。そのために、繁忙期の前に人材を確保する必要があります。
自社・自店の人員構成を把握すること。
現状の人員構成を把握し、今後想定される人材補充ポイントを押さえることで、通常業務に支障をきたすことなく店舗運営をすることができます。
将来のビジョンを明確にし、逆算して人員計画を考えること。
新規出店など、今後の会社の方向性を逆算して人員の補充を考えることで、スムーズな店舗運営が可能になります。
これらのポイントを押さえ、スケジュールを立てることが望ましい。
前年度の採用結果を振り返ってみる
どんどん前に視野を広げていくのも良いのですが、まずは現状を認識することも大切。
今年度の実績や活動状況を振り返ると共に、その結果を次のアクションへと反映させるようにしましょう。
1.「現状認識」のためのチェックポイント
・採用を取り巻く社会環境・学生の動向を知ること。
最近の学生の価値観や志向を理解することも重要で、若手社員から情報を入手したり、学生と接触したりする機会を意識的に設け、彼らから直接話を聞くこと。
・競合他社の採用動向を知ること。
賃金、採用人数、ターゲットのバッティング状況など、比較検討して分析をするといい。
・自社の採用力(採用ブランド)
社会的に自社に関してどういうイメージで捉えられているのか、強み・弱みな何なのか、競合他社と比べてどうなのか、といった点を把握しておくことが重要です。
2.「採用結果の振り返り」のためのチェックポイント
(1)採用実績
厳選採用が続いている中では、「質」に対する確認も必要。
「採用基準」に照らし合わせてどうだったのか、あるいは部門別、職種別採用を行っている場合には、その観点からどうなのかをチェックしていく。
(2)採用活動スケジュールとその内容
・HPへのアクセス状況はどうだったか。その後の反応はどうだったか
・学生へのメールのタイミングはどうだったか。その返信率はどうだったか
・就職サイトやメディアの利用時期、出稿時期、コンテンツは適切だったか。
それに対する学生の反応はどうだったか
・会社説明会・セミナー、合同説明会の開催時期やその回数、そしてその開催場所は学生のニーズや動きとマッチしていたか。
学生をどれぐらい動員できたか
・内定のタイミングは適切だったか。内定フォローは十分にできたか。
その結果、「内定歩留まり率」はどのように改善、向上したか
上記のような内容について、問題点や反省点を抽出し、来年度に取り組む採用課題として盛り込んでおく。
(3)採用体制
・採用スタッフの人数は十分だったか。責任者と実務担当者は十分機能できたか。
負担になっていたことはあるか
・採用担当者(リクルーター)の「質」「数」に問題はなかったか。
リクルーターへの事前の教育・指導ができていたか
・部門長、店長など、拠点ごとの責任者が採用責任者となっているか。
全社的に情報伝達・共有するための体制・システムができていたか。
・タイミングよく学生と接触するなど、十分なフォローができたか。
バックアップ体制ができていたか。
・数あるイベントを、目的別にうまくこなせたか。
運営上でのミス・トラブルはなかったか。
(4)採用経費
就職サイトへの出稿、DM・ツール制作とその発送、会社説明会・セミナーなどのイベント開催費用、内定管理、内定フォローのための諸費用(通信教育、懇談会など)、接待交際費(大学就職部や担当教授、学生など)。
(5)事前準備活動
就職サイトへの出稿、採用ツール類(パンフレット、DM、会社案内、HPなど)の制作など。
以上、年間採用スケジュールを決めて、業績アップし続けるための求人方法でした。