2020年に起きた新型コロナウィルス騒動で、多くの店舗が経営の見直しを迫られています。
店舗経営を脅かす不安材料は、いつどのような形で何が訪れるか誰も予想できません。
ただし、小さな兆候は数ヶ月前からあるものです。その小さな兆候を流してしまうのか?それとも注目して思考を巡らすのか?店長の力量が試されるときだと思います。
自分の経験と実績を信じる強い気持ちが仇となる
店舗を創業して10年以上たち、さらに売上も上り調子・・・と表向きはそう見えていた。そこで働くスタッフも、この店なら大丈夫だと思っていた。ところが実情は数年に渡る赤字が累積して、売上で挽回するにはかなり難しい状態になっていた。経営コンサルタントからは自己破産をしたほうがいいと何度もアドバイスをもらっていた。
負債が増えた要因は、売上を伸ばしてきた実績から店舗を拡大し、支店を出したこと。
確かに地道に経営していけば負債は少なくなるかもしれない。しかし今回のような緊急事態宣言下の営業や天変地異などが不意に起きたとき、潤沢な資産を確保していないと、たちまち崩れてしまいます。
もし少しでも直感的にAタイプかもしれないと思ったら、手遅れになる前に経営を見直し、現状でできる施策を思案すべきです。
現在は、「成功は失敗の始まり」の典型的な時代です。それぐらい外部環境が激しく動いています。店舗は儲かっていると有頂天になった途端に下り坂になります。成功しても、常に次の手を様々な観点から考えておかなければなりません。
「この店はオレのやり方で今日まで伸ばしてきた」・・・たとえそうであったとしても、経済環境の変化の速度が速くなった時代においては、傲慢な考え方と言わざるを得ません。
人間の考え方はなかなか変わらないものですが、店舗経営の考え方については、変えるべき時に思い切って変えなければならないのが経営者の役目です。
景気上昇による売上の伸びを期待し、強気で商売をしてきても、経済環境が変わればやり方を変えなくてはなりません。
「でもなぁ・・・次の波がくるような気がするんだよ。今変えたらその波を逃してしまうかのしれない」
・・・頭の中では本当のことがわかっていても人間の自己意識はそんなに簡単に変わるものではありません。
「私一人になっても店が倒産するまでは粘るのが店長の義務ってもんだろ!」
・・・倒産してからでは手遅れです。
中小の店舗経営者によくあるのは、自己資本の蓄積が少ないことです。ひとたび不況の嵐が吹き、売上が減少すればひとたまりもありません。
かつてのように、好景気と不景気を繰り返す景気パターンであれば、「そのうち何とかなるだろう」が通ってきた面もありますが、いまは経営の仕組みを抜本的に変えなければ生き残れません。債務超過になる前に改革していれば再起できる可能性があります。何もなくなってから、店舗事業を再起させるのは至難の業です。
現実的に数ヶ月先を見ながら、今できることを現実的に思案する
災害や不況になったときに、仮に公的機関から融資の誘いがあったとしてもすぐに飛びついてはいけない。融資を受ける前に考えなければならないことがあります。
◎店の家賃や光熱費・人件費など必要経費があるから、店を休むわけにはいかない状況では・・・
・店の家賃を支払えないと立ち退かされ、廃業の不安がある
・現状雇っているスタッフをもう一度後から集めるのは不可能ではないか?維持しておきたい
・取引先からの信用を失うのではないか?
・お客様が離れてしまい、もう戻ってくれないのではないか?
2020年の新型コロナウィルス騒動では、最初に飲食店が大きな影響を受けました。しかし機転の効く店長は、早いうちからお弁当の宅配を始めたり、日持ちする食品でお惣菜を販売したりと自分たちの持っている資産を生かして、従来とは違う形でお客様に提供する方法をとりました。
加工食材を販売する店舗では、日持ちしない食材を売るのをやめて、長く日持ちして常温保存が可能なものを開発したり、販売するときには飽きないように複数のレシピを添付するなど、お客様の行動を予測しながらアイデアを実行していきました。
また、営業時間を短縮してそのぶん購入商品の宅配に時間を割いた家具雑貨店や食材店など、またはFacebookやTwitterを活用してネット販売することもできます。対面相談が必要なサービスもネットの対面通話ができるアプリを使用すればいい。
どんな業種の店舗でも今までの形を維持するためだけに借金をするのではなく、現状あるもので工夫して乗り切ることを最初の施策としてやるべきではないでしょうか。
以上、「経営危機は店長の態度が誘い出す。有頂天になると失敗の始まり」でした。