
商品ロスは、なぜ起きるのでしょうか?
サービス業ならあまり気にしないことですが、何か「物」を販売している店舗では「在庫管理」や「商品の仕入れ」のバランスをコントロールすることがとても重要です。
しかし、どんなに商品管理を完璧にしても、商品ロスは別の要因で起きることがあります。
多くは内部不正(店員や納入業者による不正や伝票ミスなど)と、万引きだといいます。
いかに商品ロスを減らして、健全な店舗経営をしていけばいいのか、その基本を考えてみましょう。
粗利益を減らす在庫と商品ロス
直接店舗運営の将来を左右する「粗利益額及び粗利益率」を高めるためには、売上をいかに伸ばすかと、「売上原価」をいかにコントロールするかが重要になります。
小売業では、売上原価は提供する商品の仕入にかかるコストを指しますが、「仕入価格」の他、「在庫」や「商品ロス」が影響します。
しかし、小売業の多くのスタッフは、「売上原価」と「仕入高」を混同して、「粗利益=売上高-仕入高」と考えています。
例えば、仕入価格70円の商品を100個仕入れて、販売価格100円で100個売れば、「売上(1万円)-仕入高(7000円)=3000円」となり、単純にこの差額の3000円を「粗利」と考えています。
「商品在庫の増減」もなく、「商品ロス」も発生しないならば、それでも良い。
しかし、正確には、この3000円は「粗利益」ではなく、「売買差益額」となります。
正確な「粗利益額」を算出するための「売上原価」は、在庫変動や商品ロスも加味して、「期首在庫高+仕入高-期末在庫高」の算式で計算されます。
つまり、商品の実地棚卸を実施し「期末在庫高」を調べなければ、正確な「粗利益」が把握できないことになります。
正確を期すためには、実際の棚卸時に、ただ正確に商品個数を数えるだけではなく、実態の商品価値を加味した、正しい「在庫高」を把握しなければならないということです。
商品ロスを明確にし、正しい在庫高を把握
過去に倒産した小売業を見たとき、「粉飾決算」など悪意のあるケース以外でも、損益計算書上では「利益」が出ていることになっていたが、実際には数年前から「赤字」になっていたことが、あとから判明したという話も珍しくありません。
その多くは実際の「在庫高」の中に、
・商品保管方法が適正ではない
・先入れ先出しが徹底されずに、在庫商品が消費期限切れ(あるいは商品自体が劣化状態)
・季節やトレンドの変化によって商品価値が下がっている
などの理由により、本来ならば、廃棄や評価替えをしなければならないような商品が多く含まれていることも多い。
利益が出ているように見えても、正しい商品在庫高で粗利益を計算したら、想定以上に粗利益が少なかったというケースがあります。
「計算上の在庫高」と「現品の棚卸高」の差を商品ロスと言うが、視点を変えれば、「実地棚卸」は、「商品ロス」を明確にするための重要な仕事であると言えます。
つまり、粗利益を増やす(=売上原価を下げる)ためには、「仕入価格」を下げるための仕入先選定や仕入交渉も重要ですが、自店内において「商品ロス」を常にいかに低く抑えるかが重要になってくることがわかります。
実地棚卸の方法
棚卸資産(販売業では商品、製造業では製品、仕掛品、原材料)の現物を直接見て、その数量、種類、品質を確認することを実地棚卸といいます。
普段は、帳簿上で数量を確認する「帳簿棚卸」で確認しています。
しかし、 紛失等で実際の数と合わない場合や、破損や品質低下は実際に目で見ないと分からないので、実地棚卸の作業が必要となってきます。
例えば色が劣化していれば、一目で不良在庫あるいは過剰在庫だと分かります。
さらに出庫、受入ミスにより、台帳の数量と違っていることが分かるので、適正な商品管理の上でも重要です。
そのため、決算時の年1回の実地棚卸だけでは在庫の状況を的確につかめないため、月に1回などこまめに行うことが大切です。
【実地棚卸の準備】
①倉庫見取り図や棚卸しのタイムスケジュール、棚卸担当者の組み合わせを決める。
②商品と倉庫の整理整頓
<実在庫商品>
1.同一品種・同一品名のものを同一場所にまとめて整理する。
2.商品の品名、価格等を記載した紙を商品に添付する。
3.不良品はできるだけ整理する(修理または仕入先への返品・交換等を行う)
4.倉庫内および店舗の見取図、商品配置図を作成しておく。
<預け商品(社外在庫)>
1.原則として戻入れをする。
2.先方より預り証を取り付ける(デモ・貸出し等)。
<預り商品>
1.原則として先方へ返品する。
2.見本品、委託品は仕入先へ返品しておく。
3.得意先からの修理品は、修理を完了したものは返却しておく。預かり品も得意先へ返却しておく。
4.処理できない場合には、当社の商品と混同しないように区分し、商品に棚卸不要の用紙を貼付し預り品と明記しておく。
③棚卸票の確認
配付された棚卸票の枚数とナンバーが、連番になっているかを確認する。
④商品受払台帳の整備
商品受払台帳は、毎月末日に締切り帳簿残高を算出しておく。
⑤売上および仕入れの締切り
仕入計上基準は検収基準、売上計上基準は出荷基準である場合、現品の入出荷を伴わない仕入れ・売上げはしない。
【棚卸実施日】
<緊急入出庫の取扱い>
① 棚卸し中やむを得ず入荷した商品は、在庫商品とは区分し、納品書または送り状を添付し棚卸しは行わない。また、仕入計上も行わない。
② 棚卸し前に出荷したものは当日の売上とし、棚卸し後に出荷したものは翌月の売上にする。棚卸し前に出荷し売上計上できなかったものは、棚卸票に記入する。
<実地棚卸の方法>
① 棚卸責任者
棚卸票を各在庫場所の棚卸担当者に割り当てる。
② 棚卸担当者
1.原則として棚番号の低い順位から順次行う。
2.棚卸しは2人一組で行う。
(計数者は、商品名・品番等と数量を読み上げる。記入・読上者が読み上げた商品名・品番等と数量を棚卸票に記入する)
3.棚卸しは、上段の左から右へと逆Sの字で行う。
4.棚番号が終わるごとに、棚卸票を棚番票が貼付された場所に置く。
5.すべての棚のカウントが終了したら計数者と立会者を交替し、ダブルチェックを行う。
6.二次チェックは、赤のボールペンでチェック欄にマークをつけていく。
7.書き損じの棚卸票は、破り捨てずに×を付して保管して置く。
【集計と整理】
<棚卸票の回収>
1.すべての棚の棚卸しが終了したことを、レイアウト図で確認してから、棚番号のはじめから棚卸票を順次回収する。
2.棚卸票の回収が終了した時点で、配付枚数と使用、未使用、書き損じの枚数を照合し、紛失がないかを確認する。
3. 棚卸責任者は、記載内容をチェックする。
4. 訂正のある場合は、棚卸責任者が内容を確認し訂正印を押印する。
<商品受払台帳への記載>
1.実施棚卸数と帳簿残高とに差異がある場合には、もう一度現品と帳簿を調査し原因を追求する。
2.過不足の理由が不明の場合は、棚卸責任者の承認を得て過不足数を商品受払台帳に記載
し、実際数量に一致させる。
4.不良品については、棚卸責任者の指示に基づき廃棄、仕入先への返品等の処理をする。
※廃棄の場合は、廃棄商品の写真と廃棄業者の証明を取り付けること。
以上、「「在庫」、「原価」と「粗利益」の関係を知って商品ロスを減らそう」でした。
