笑顔のサービス、値引きサービス、お届けサービス、お店から提供されるサービスにはいろいろあります。
でも、そこにお客様に対する気配りと、心配りが無ければただのマニュアル応対に終わってしまって、お客様と心が通じ合うことはないでしょう。
店員の接客の原点は、ホスピタリティにあります。
ホスピタリティに欠けた店舗スタッフは存在し得ません。
接客時に心掛けたいホスピタリティとは?
ホスピタルの語源は、病院です。
病院に求められるのは、病気を治すことはもちろんですが、最も大切なことは患者を癒やして、生きる活力を与えることです。
また、ホスピスは、治癒する見込みのない末期がん患者を、いかに癒し、笑顔にするか、医師も看護師もスタッフは、そんなホスピタリティを中心に動いています。
サービス業に従事する人は、癒しとしてのホスピタリティをいつも心がけて欲しいものです。
例えば、ホテルを訪れるお客さまは、楽しい旅行気分の人ばかりではありません。
出張と仕事で、疲れているかもしれません。
失恋して傷心の旅の途中かもしれません。
飲食業だって同じです。
お客様は、嫌なことがあって、やけ酒を飲みたいのかもしれません。
賑やかな食事会も、誰かが落ち込んでいるのを激励するためかもしれません。
たとえ、ウキウキした気分のお客様だったとしても、やはり癒しや労いをどこかで求めています。
仕事が上手くいっているときも、上手くいっていないときも、家に帰って愛する妻がビールをついで、「お疲れ様でした」と言ってくれれば、たいていの疲れは吹き飛んでしまいます。子供の笑顔も同じ効果があります。
しかし、なんの労いもなければ、働く気力も失せてしまいます。
店舗スタッフはいつでも、お客さまが心からくつろげる、癒しとねぎらいに満ちた温かさを持って、そして与えてあげて欲しいと思います。
一流の店員がお客様に親しまれる理由
店舗に来るお客さまがどんな仕事をして、どんな悩みを持っているかはわかりません。
また、そのことを詮索してもいけません。
お客様から慕われる店舗スタッフは、いつも、「お客様が少しでもくつろいでくださり、気分よく過ごしてくださったら嬉しいです」という思いを、言葉にせず伝えることができているのだと思います。
業種にかかわらず、どこでもそうです。
お客様の人気のある店舗ほど、人を安心させ、あたたかく迎え入れる雰囲気ができているのです。
そこには、地方から出てきたお年寄りが緊張して、身動き取れなくなるような場所ではありません。
難しい専門用語ばかり連発して説明ばかりされて、お客様が困って萎縮してしまうような場所でもありません。
あるブランド店では、格調は高いのに、あたたかい安らぎがある、そういうサービスができれば一流の店舗スタッフといえるでしょう。
間違ってはいけないのは、自分ではそうした雰囲気を醸し出そうと頑張っていても、心からお客様に喜んでいただこうと望んでいなければ、それはかないません。
サービスを極められるかどうかは、その人のマインドにかかってきます。
自分の発する言葉を振り返って、ホスピタリティを検証しよう
あなたが、今、どういうマインドでいるか、言葉を通してちょっと振り返ってみませんか?
店長は、従業員の言葉に敏感です。
店長自身の口をついて出る言葉にも、敏感でなければいけません。
なぜなら、その人が何気なく発する言葉には、その人のホスピタリティの真実が必す見てとれるからです。
例えば、こんな言葉があります。
「クレーム処理できた?」
サービス業の現場で、よく聞かれるセリフですが、処理という言葉には、クレームを上げたお客さまへの気持ちがはっきりと出てしまっています。
この言葉を使っているうちは、お客様からは何も学ばせていただくことができません。
「あのパーティーの席、さばいちゃつて」
料理人は「さばく」という言葉をよく使いますが、丁寧さのかけらもないこの言葉を従業員が使うことを許してはいけません。お客様やお客様の召し上がる食事は、さばいていっていいものではないからです。
「なんとか店が回るようになりました」
店のオーナーがこんなことを言うと、その人に苦言を言いたくなりませんか?
この言葉には無意識に、お客様をコマのように扱っている心理が見てとれます。店は回すものではなく、お客さまとの有機的なつながりで経宮が成り立つものだからです。
このような普段からの言葉から、店舗スタッフのマインドが疑われてしまいます。
もし、こうした言葉を何気なく使っていたとしたら、要注意です。
サービスを提供する店舗スタッフとして、言葉づかいに敏感になりましょう。
それがホスピタリティを身につける第一歩です。
以上「店員が行うサービスとは気配りと心配りのホスビタリテイのこと」でした。