なかなか雇った社員やアルバイトが定着してくれず、短期で退職したり、ある程度仕事を覚えたら辞めてしまうという現状に悩む店長は多いという。
特に最近は様々な理由で働き方にも多様性があり、経営者はその動きに対応せざるを得ない。従来の働き方に固執していては、社員の流出が収まらず、店舗経営も安定しなくなってしまいます。
では、店舗の社員が気持よく長く務めてもらうためには、どんな環境を整えてあげれば良いのでしょうか?
パートやアルバイト社員の女性が定着しやすい職場環境とは?
店舗社員は、男女比で見ると女性比率が高く、雇用形態別ではパート社員比率が高いことが特性として挙げられます。
そこで、スタッフの定着を考える場合、パート社員や女性が定着しやすい環境を整えることをしなければ難しくなります。
パート社員の場合、定着のポイントは自分が希望する働き方ができるかどうかです。「週5日、フルで働きたい」「土・日は休みたい」「10時〜16時の時間帯で働きたい」など、パート社員が希望する働き方は様々です。
また、今まで週5日フルで働くことができていたパート社員が、家庭の事情で次月からフルで働くことができなくなることもあります。
家庭の事情というのは、特に現代は母子家庭が増えていることや、小さな子供抱えた女性の場合は保育所の問題があったり、介護を必要とする家族がいたりと様々です。
その現状に対して国のバックアップが整わない以上、家庭の事情に合わせた働き方を選択せざるを得ないのです。
だからこそ、店舗の経営者がその事情を汲みとって、社員の働き方を変更することでそのまま継続勤務ができれば、本人にとっても店にとってもメリットがあります。
店は、新たな人材を採用し、また一から業務を教えるよりは、今いる人材が働き続けてくれたほうが、確実に今の生産性を維持できるからです。
また、そういうバックアップができているという店舗であれば、評判になり、優秀な人材が集まりやすくなります。
パート社員が働きやすい複数の勤務コースを設定
店ではパート社員の働き方をいくつかに分類して、「コース」として設定しましょう。
仕事の能力による段階を等級として分けていきます。
採用時は1等級からスタートします。
そして定期的な評価を行うことで、昇格条件をクリアすれば上位等級に上がり、時給も上がるという分かりやすい仕組みをつくります。
コースとは働き方の違いで、週3日10時〜16時など時間と曜日を限定して働く社員と、時間も曜日も融通が利き、決められたシフトに従い働く社員では、同じ1等級でも時給が違うということを意味しています。
このようにいくつかのコースを予め設定し、入社後にコース変更希望があれば柔軟に対応できることをアピールすれば、採用募集をした時に応募者も増えるし、また入社後も意欲的に長期継続勤務を可能にすることができるのです。
この条件なら、よっぽどの事情が無い限りは、辞めたいと思わないのではないでしょうか。
社会の動きに柔軟に対応できる働き方を社員に提案し続けること
パート社員の働き方の選択は自分の都合というよりは、子供が小学校低学年だからとか、同居している親の通院に付き添うなど、家族の状況によって左右されることが多い。
しかも、その家族の状況は固定的なものではなく、社会の影響などによっても徐々に変化するのです。
だからこそ、店ではその状況の変化によって働き方のコースを変更できるようにし、せっかく育てた人材が辞めることなく自店で活躍できるような環境を整えるべきなのです。
社員は店舗の宝であり、財産です。顧客満足よりも、従業員満足を第一に考えて経営することが大切です。社員のモチベーションが上がれば、店舗に活気が生まれ、社員の笑顔がたくさんのお客様を呼んでくれるでしょう。
また、社員同士の摩擦を避けるためにも、社員の能力による給与差と労働条件による給与差を明確にすることにより、そもそも働き方と時給が違うのだからと割り切れば、パート社員同士が遠慮や気遣いで、仲間との付き合いに疲れることもなく、本人も納得して働くことができるのです。
更にパート社員から正社員への登用についても、条件を提示することによって、長期的な視野で勤めることを考える社員を増やすことが可能になります。
以上、「社員定着のための方法は働き方の選択肢を広げること」でした。