やらなくてはならないことはわかっているのに、その仕事になかなか取り組むことができない。
そういう気持ちになることは、仕事をしている限り何度も訪れます。
まるで今まで培ってきた自分の経験と知識を試すかのように、突然訪れるものです。
その内容はお客様からの無理な発注だったり、クレームに対する対応だったり、業績悪化に伴う再生事業だったり、新事業への挑戦だったりと様々です。
とくにハードルが高い仕事であればあるほど、その仕事の前で考え込んだり、先のばししたりしてしまうことが多いものです。
それでも内容にかかわらず、目の前にある仕事をてきぱきと片づけていく人になりたい。
こんなタイプは自分から見れば、理想的な仕事人間といえますが、現実にはそうはいかないことがほとんどです。
大きな仕事は誰にでも「心の負担」が付きまとって、行動がにぶりがちになります。
でもあなたは未経験の新人ではありません。
これまで実に様々なことを、てきぱきとこなして実績を積み上げてきたはずです。
だから大仕事に直面した時は、大きな仕事を小さく分割して、自分の技量に見合うサイズにして、負担を減らすことが有効になります。
たとえば、重役が出席する会議で、社運を賭けた新商品のプレゼンテーションをしなければならなくなった場合を考えてみよう。
取りかかろうとする段階で、憂鯵になってしまう人も多いものです。
そんなときは「プレゼンをする」という大仕事の「看板」をとりあえず下ろし、プレゼンの中味をじっくり整理検討してみる。
すると、その中には必ず「類似商品のデータ整理」など、必要不可欠ながらルーチンワークの積み重ねでできる仕事も含まれているはず。
新商品のコンセプトなど全力で取りかからなくてはならないテーマではなく、ネットの検索のように強い意志を発動しなくてもできる仕事なら、先のばしを回避してすぐにでも始められます。
人間は仕事に対して常に気力を全開レベルに保ち続けることはできないものです。
しかし、低出力なら動き出すことはたやすい。
小さな仕事であっても、その蓄積が大きな仕事を動かすきっかけにはなります。
いまやるべきことを見つけ出すことも大事な仕事です。
「考える系」と「作業系」に分けて、「作業系」を徹底的に合理化すると、仕事が効率的にやりやすくなる
いまやるべきことを明確にして、仕事のスピードと効率をアップするには、仕事を2種類に分けてしまうこともおすすめです。
それが「考える系」「作業系」の区分けです。
「考える系」の仕事が重要なことはいうまでもない。
アクセルを踏み込んで精神を集中させ、アイデアを生み出したり、思考力をめいっぱい発揮することに、自己の創造的な能力を注ぎ込む時間です。
価値を生む仕事なので、当然この時間は十分にとる必要があります。
では「作業系」の仕事とは、どんな仕事だろうか。
「メールのチェックをする」「名刺や領収書の整理をする」といった仕事は、直接「創造力」といったものには関連が薄い仕事です。
しかし、やらなければいけない仕事です。
できるかぎり「考える系」の時間を増やし、「作業系」を徹底的に効率化する.これが時間整理力を高めるポイントです。
「作業系」の効率化は、案外簡単です。
「考える系」と異なり「作業系」はそれほど頭を使わない。
そのため、仕事の効率を大幅にアップする「並列化」と大胆な「自動化」が可能だからです。
メールのチェックなどは電車での移動中にできるし、昼食をとりながらでもできる。
2つの行為を同時にすることは2倍の時間を生かすことになります。
名刺をスキャナーに読み込ませるだけで整理が可能になるなど、作業系は自動化が進んでいます。
また、作業系を効率的にこなしていくには、日時を決めてそのときに必ず行うというモチベーション設定も有効。
やるべき時を教えてくれる電子メールの「リマインダー機能」や、スマホのアプリを利用するのもいい作戦です。
以上、難しくてやりにくい大仕事は分割して、「小さなやる気」で着手すればいい、でした。