手っ取り早くお客様を集めようとして、安易なディスカウント販売(バーゲンセールなど)をする店舗をよく見かけます。
どんなお店でもお客様に自店の価値を伝えたい、この店舗は良いものをお客様がお求めやすい価格で提供していますよという価値を感じさせたいと思っているはすです。
でもディスカウント販売で、店舗の本当の価値を伝えられるでしょうか?
たぶんお客様の抱く印象は「ここは安売りが特長で、普段買い物をすると損をする」というものではないでしょうか。
一度の成功が店長の経営感覚に錯覚を起こす
価格を割り引いて、商品を販売すれば、お客様はいつもよりも安く、手頃な価格で欲しい商品を購入することができるので、店舗はいつもよりたくさんお客様で賑わいます。
価格を下げてお客様が集まり、商品が多く売れると低価格で販売しても儲けが出て効果がある・・・と勘違いする店長がいます。
そうすると店長は、春と秋だけだったディスカウントセールを、年に3回~10回と回数を増やして行こうとします。
街を歩いていると、「あれ?この間も閉店セールをやっていたのに、またやってる」っていう店舗も時々見かけます。
ディスカウントセールは、一時的な販促戦略としては有効です。
でもそれは、店舗にいつも来店してくれるお客様への感謝の印として、行うものであって欲しい。
しかし、大抵の店長が「ディスカウント中毒」にはまってしまうようです。
「これは利益が出る!」と思い込んで、ディスカウント割引で集客できることに気づいたお店は、「値引きや割引さえすればお客様は来店する」と勘違いして、来店客が減ると割引をするようになります。
そして、気づいたら割引をやめられない中毒状態になってしまいます。
ディスカウント中毒になったお店は、本来お客様に伝えるべき商品の価値を考えなくなり、より安く仕入れられるような商品ばかり集めて、ひたすら[安い!お得!」を訴求していきます。
お客様に有益な商品価値を伝えず、販売価格を安くすることで価値をなくしてしまう店へと変わってしまいます。
確かにお客様は、欲しい商品をお得な価格で購入したいと思っています。
だから周辺地域に同じような商品を販売している複数の店舗から、よりお得に購入できる店舗はどこにあるかと価格を比較しています。
競合店が周辺地域にあると、「他店よりももっと安く販売しなければいけない」という価格競争が始まります。
店舗に十分な資本力があればいいのですが、少ない資本力ではやがて破綻してしまうのはわかりきったことです。
しかし、ディスカウント中毒の店長は、そこには気付かない、現実を見ようとしません。
集客は価格ではなく、価値を売りにすれば優良顧客が増える
価格競争では、健全な店舗経営を続けることは難しいもの。
店長が目標としている繁盛店になるなど、夢に終わる可能性が高い。
ディスカウント中毒の店長に必要なことは、「低価格で集客できるのは一時的なことであり、それは永遠に続かない」ことを理解することです。
例えば品質がとても良い洋服を、販売している店舗があったとします。
しかし名のしれたブランドの商品ではないので、売れる気配がない場合、どうやって集客すれば良いでしょうか?
てっとり早く割引セールをして、集客をすることと思っていませんか?
その安易な発想が、繁盛店になるための妨げになります。
セールをする前に、店舗の認知度を上げるためにやれることがたくさんあるのに、安易な販売策が結果的にお店のブランド力を著しく低下させます。
買った日によって商品価格が変わると、価格の信用が無くなり、特売でしかお客様はお店に来なくなります。
特売のチラシが入った時にしかお客様が来ないという策を繰り返していくと、やがてお店の信用はなくなります。
お客様の信用を失うということは、何をしても来店してくれないということであり、閉店するしかなくなります。
このように、困ったらすぐに低価格に走るのは自滅行為です。
価格に頼らなくても売上は上がる!価格を下げる前にスタッフの接客を見直して、お客様との信頼を築く
店舗で販売している商品の魅力を、スタッフの接客で伝えられているか? それを試せることがいくつかあります。
(1)もっとスタッフに笑顔を作れるようにする
(2)店頭に人を配置して声がけをしてみる
(3)もっと声をだしてお店に呼び込む
(4)お客様にちょっとしたサービスをしてさしあげる
(5)一人一人のお客様をきちんと最後まで店頭でお見送りする
以上を素直に実践することで、価格を割り引く回数を減らし、売上を上げ、収益力を高めることに繋がるかもしれません。
価格操作以外で、店舗全体でできることを考えて実行してみると、意外とお客様に喜んでいただける策が見つかるかもしれません。
価格を超えるブランド力を作る
では超繁盛店になるためには何が必要なのでしょうか。
それは店舗らしさと言われる「独自性」や「独自固有の長所」を売ることです。
店舗らしさには、商品力と人間力の二点があります。
今の店舗が繁盛店になるためには、お客様の信頼を失わず、何度も何度もお客様にお店に戻ってきてもらう関係性が大切になります。
だから独自性を発揮するような商品販売、商品仕入をして、店長自身やスタッフの個性をを活かすような教育が重要な取り組み内容になります。
価格を超えるブランド力を作るには、「独自性、利便性、密着性」の三点を踏まえたお店作りをすることです。
繁盛店になるためには商品が重要
商品力でリピーターを増やす
自店の得意技(長所)に徹底的に磨きをかけて、お客様がまた来たくなるようにすることがもっとも重要です。
どんなにサービスのいいお店であっても、そこに魅力的な商品がなければお客様は再来店することはないでしょう。
来店客の利便性を高める
お客様に「このお店は気が利いている」「居心地が良くて長居してしまう」「店内がとてもわかりやすい」などお店に来てもらいやすいように、利便性を高めることは重要です。
ポイントカードを発行してお客様に特典を差し上げたり、お店の中にソファを置いてそこでゆっくりしてもらえる店内のサービスを向上させたりして、お客様がお店を使いやすくなるような工夫をします。
お客様は使い勝手がいいお店には、何度でも足を運ぶものです。
だから利便性が高いお店は、繁盛店になりやすいと言えます。
利便性にさらに磨きをかけるなら、店舗の立地も大事です。
駅の中にお店を開いたり、地下鉄のコンコース、空港の中、高速道路のサービスエリアの中などにもコンビニやアパレル、雑貨のお店がオープンしています。
お客様と密着性を高める
繁盛店になるために、接客においてお客様との距離感を縮めます。
繁盛店の接客は、常にお客様との距離感をバランスよくとっています。
「近すぎず、遠すぎず」というこの距離感は、常に店長が気を配らないといけないところです。
新入社員は、まだ接客中の距離感を把握できていないので、店長が接客のタイミングや距離感を教えることが大切です。
こうしてお客様に「付かず離れずの接客」ができるようになると、お客様もストレスを感じることなく、適度なお店との距離感に居心地の良さを感じるようになります。
商品力において自店の得意技を磨き、お客様に利用してもらいやすい環境を作り、お客様との適度な距離感を保っていくこと。
こうしたことが価格以外の要素でお客様とつながり、目指す繁盛店に近づくことになります。
最初から繁盛店にはなれない
今はまだ店舗が繁盛していないとしても、悲観する必要はありません。
繁盛しているお店は何をやっているのか、どんなことに力をいれているのか? などを研究することから始めましょう。
お客様の価値観は、時流によって常に変わります。
変わりゆくお客様の価値観の変化に目を向けて、繁盛店作りの原理原則を1つずつ自店に落とし込んでゆくことです。
これがやがて繁盛店になることに必す、つながるでしょう。
以上「集客の基本はディスカウントセールをやらないこと」でした。