客としてお店に入ったときに、自分が買いたいと思っている商品、またはカテゴリーがどこにあるのか?それが明確なお店というのは入った瞬間に安心できるものです。
逆に何がどこにあるのかわからないお店は不安になってしまいます。
もちろん買いたい商品名まではっきりしているなら、そのまま店員に聞けば案内してくれるけど、なんとなくおぼろげなイメージでしかない場合は、店内をうろうろしながら目星をつけるしかありません。
そして、自分が欲しい物が並べられている棚を前にした時に、類似商品がたくさん並んでいると、どれを選べばいいのかわからなくなり、ここで不安になってしまうこともあります。
不安な気持ちのまま商品を購入することはありません。あなたのお店の棚割や陳列方法は間違っていませんか?
売場づくりの際に重要なポイントは「棚割り」と「陳列」
「棚割り」とは、ある商品をどの場所にどの程度の数量を陳列するかを決定すること。それに対し「陳列」とは、椰割りによって決まった場所に決まった数量を「より魅力的に見せるためにどう並べるか」を指します。
棚割りは戦略、陳列はそれを具現化するための戦術とも言えます。
だから商品が売れるようになる売場づくりのためには、まず棚割りが決まらなければ、商品を陳列することができません。
それぞれの商品が、品切れにならないよう、過剰在庫にならないように、店舗が開いている間、お客様に向かって一番良いフェース面を見てもらうように棚上に配置されていることが大切です。
売場に並べることのできる商品のアイテム数や数量は、売場面積である程度決まってしまうため、限られた面積の中で販売効率を上げることが棚割りの役目です。
棚割りの決め方
棚割りの基本的な考え方は、売上上位商品に売場面積を割いたり、先述した「売れる三大スポット」など重点箇所を充てたりと、「場所と数量を決定すること」です。
どのような業種・店舗でも、大量陳列している商品ほど目立つから、売上構成比が高くなります。しかし、全商品を大量陳列してしまってはメリハリがなくなり、売れるはずの商品が売れなくなる可能性があります。
売れる商品、お客様のニーズの高い商品に売場面積を広くとるよう、棚割りをする必要があります。
①店内商品をカテゴリー別に売上構成比の高い順番に並べる。
1店舗で高額商品から低額商品まで幅広く扱う店舗では、販売個数構成比順がよい。
②上位10%内に入る商品から優先的に椰割りをする。
棚割りをする際は、場所を先に決めるようにする。
店内では、入口付近やレジ付近、エンド部分が売れやすい場所です。
ここに売上(販売個数)構成比の高い商品を充当します。
③場所が決まったら、陳列する商品の数量を決定する。
陳列棚の大きさや種類、商品自体の大きさから数且量を割り出します。
この時、売上 (販売個数)構成比の高い主力商品は、他商品と比べ3倍以上の数量にすると、売場にメリハリがでます。
棚割りは誰がする仕事なのか?
商品をどの場所に、どれだけの数且里を陳列するかを決めたら、次はどのように並べるか(陳列)を決めます。
陳列は棚割りと異なり様々な手法があるため、売場づくりに興味がある従業員であれば誰でもできます。
しかし棚割りは売場面積や什器、商品の種類などにより条件が異なるため、販売に関する知識や経験が必要になります。それだけでなく、棚割りは売上に直結する重要な事項でもあるため、実績のない従業員には棚割りは任せることができません。
だから棚割りは必ず、店長または同等の能力を持つ従業員が行うほうがいい。
棚割りに関する6つの法則
◎床から100cm前後の棚位置が売上最大になる
床から90~120センチの高さは、「ゴールデンラインまたはゴールデンゾーン」という。
通常の店内環境では、買い物客にとってもっとも商品が目に付きやすく、手が届きやすい棚位置です。
◎身長の高い人ほど上段の商品を購入するが、最も身長の高い人では、最下段の売上がやや高くなる
女性を対象に身長が高くなると(~160㎝)、しだいに上段の商品に注目が行くようになります。ただし、身長が160㎝を超えてくると、最下段の注目率が高まります。身長の高い人は、棚の商品を見下ろす感じになる傾向があるようです。
◎フェースを倍にすると売上は平均で約30%増える
買い物客から見て、フェース(同種の商品の個数)が増えると、売上げは増加します。商品への注目率が高まり、在庫切れで販売機会を失うこと(チャンスロス)が減るからです。
◎回転率の高い商品では、フェースの売上への効果が大きい
◎棚の右側のほうが左側より約30%視認率が高い
◎商品を手に取る確率は、棚の右と左でほぼ7:3の比率になる
具体的な棚割の配置の考え方
◎各商品群の売上に応じたスペース配分をする
それぞれの商品群の売上金額、売上数量、粗利金額などの合計値から、それぞれの商品群の構成比を求め、その比率に応じてスペースを棚上に配分します。
◎各商品群をまとまったブロックにして配置する
それぞれの商品群の中をサブカテゴリーに分け、そのサブカテゴリーを一つのまとまりとして棚上に配置します。
顧客の視野は、縦10~20cm×横70~80cmと言われています。
この範囲を一つのブロックと考えて商品陳列をします。
◎縦陳列と横陳列の組み合わせ陳列を考える
店内における商品探索の際、顧客の目は先ず、縦に止まります。それから横に流れると言われています。
つまり、サブカテゴリーを先ず縦に陳列し、次にサブカテゴリーの中を横に陳列すると顧客の目線を誘導することが出来るので、結果売上の増大に結び付く事になります。
◎ゴールデンラインの配置
棚上で商品を、一番見易く、取り易いポジションは床から80cm~150cmの所です。ひとつのカテゴリーの棚の前に立ち、商品選択をする時間は約8~12秒と言われています。
この時間を商品数で割ると商品一個当たりの時間が出ます。
例えば商品が棚上に80種類あり、12秒間棚の前に居たとすると、1種類当たり0.15秒しか見られていないことになります。
つまり、ほとんど見られていない。故に見易いゴールデンラインにどのサブカテゴリーを、どの商品を配置するかで売上が変化してしまうのです。
◎棚本数が長くなる場合、棚ごとのまとまりとストーリー性
一つのカテゴリーで棚が数本と長くなる場合、それぞれの棚ごとにサブカテゴリーをまとめる事。
そして主通路からの動線、副通路からの動線を考慮にいれながら、どんな順番にサブカテゴリーを並べるかがそのカテゴリーのストーリー性に関係してきます。
しかし、最も大切な事は…
いくら戦略的に完成度の高い棚割ができて商品の陳列ができたとしても、お店側の主張が強すぎて<心理的な押し売り>になっていると、お客様は逃げてしまうと思います。
イチ推しの商品というのは、お店側の主張ではなく、お客様にとってのイチ推しになっていなければならないのです。
そのことだけは意識しておかないと、せっかく頑張ったことも逆効果になっていまい兼ねません。
買いたい気持ちにさせる売り場の棚割り基本法則で売上げ向上とは言っても、そこには実に奥深いノウハウがある物ですし、お店の環境や状況に合わせて臨機応変に実践してみてください。