スタッフが店舗業務の全てをマスターしたからといって、店舗経営が自動運転できるわけではありません。
状況は日々変化しています。
そして店舗スタッフは人間、店長も人間ですから、いつ何時何が起きるかわかりません。
お客様のニーズの変化も同じように、変化していきます。
変化というのは変わる様子が見えるわけでは無く、ある日突然イレギュラーな事態としてお店に降りかかってきます。
そんなイレギュラーな事態にどう対応するのか?
日々意識するようにするにはどうすればいいのか?
4つのステップでイレギュラーに対応できる
日々の業務は、誰もが何度も繰り返すことで習熟度が高まっていきます。
また、マスターできなければ業務に支障が起こるので、マニュアルなどの教育ツールが準備されていることが多いものです。
しかしながら、イレギュラーは稀に起こる上、最終対応はベテランスタッフや責任者が行うことが多い。
このためよく言われる問題点として、個々人の資質に任され、バラつきが多くなり、お客様の不満に結びつきやすい。
少なくとも、比較的高頻度のイレギュラー対応に共通ルールを作り、皆で共有していくことが必要です。
共有していく情報は、誰もが目で確認できるよう、まとめるのがよいでしょう。
例えば、お客様のリクエストに応えられない場合を例にとってみましょう。
取り扱いのない商品のオーダー、欠品、実施していないシステム、値引きなど様々なことが考えられます。
これらの対応はほぼ同じであるので、「リクエストに応えられない場合」とまとめてかまわない。
マニュアルは標準的な対応を文書化したものです。
詳細にしすぎると、マニュアルの通りに全てを行い、機械的で無機質な対応となりかねない。
少し、個々人が考えられるようにツールを作成します。
対応を考えてみましょう。
①リクエスト内容を確認する
②お詫びを伝える
③お客様の期待に応えるための代替案を提案する
④反応に応じたアクションを行う
大きくはこれらの4ステップ。
最初に復唱(内容確認)をするのは、聞き間違いや勘違いを避けるため。
次のお詫びは、お客様の期待に応えられないことに対する陳謝です。
「すみません」や「ごめんなさい」ではなく、「申し訳ございません」という表現です。
そして提案。
この提案こそが客志向のバロメーターとなります。
お客様から「あと3つ欲しいのですが」と依頼を受けて、「今、出ているだけしかありません」と、見ればわかるようなことを口にするスタッフを見かけるが、これは提案どころか、全くお客様の気持ちになれていない。
お客様は、この店ならきっとあるだろうという期待を持って来店してくださったのです。
そのお客様の期待を裏切ってしまったのです。
丁寧にお詫びの言葉を伝えよう。
また「できません」「ありません」と断言したり、「いかがいたしましょうか」と全てをお客様の判断に任せようという反応がスタッフから返ってくることがあります。
これは、「自分で勝手に考えてください」と突き放すことになります。
お客様の期待通りのことができないにしても、なんとか店舗としてお役に立つ方法を考えているというスタンス=客志向を形にしていくべきです。
基本的には、要望に近い提案を行うのがお客様満足を実現させるためのアクションです。
例えば、イチゴのショートケーキが欠品していたとしたら、イチゴを使った別商品かショートケーキ、あるいは自信の1品を提案します。
代替案は、類似点を持たせるか、全く異なるならお客様の気に入る確率の高いもので行う。
ただし、代替商品では役に立たないものもあります。
書籍などの場合、お取り寄せを提案します。
サービス業でも、サロンや医療施設の予約などの場合には、同じ時間や曜日、直近の時間などを提案します。
どのような業態・業種であっても、お客様が「それでお願い」と言ってくださる提案を考えることです。
万一、提案が受け容れられなくても、お客様からは十分満足をいただけることがほとんどです。
自分のために考えてくれた、親切にしてもらったという好印象が残る。
親切なスタッフがいてくれる、次もこの店舗でという心理を生み出すのです。
やりたいことができたか、ニーズを満たせたか、この直接的な満足の他に、私の力になってくれる、親身になってくれるスタッフがいる、という心理的な満足を創り出していくのです。
この心理的な満足こそが、固定客化のために必要な満足です。
だからこそ、イレギュラー対応に強い店舗は、お客様満足度が高いのです。
受け容れていただけるような提案を行い、お客様に目的を果たしていただくことが最も重要です。
しかし、結果だけが満足ではありません。
万一、お役に立てない提案であっても、「この店舗で聞いてみてよかった」という心の満足を生み出していくことができます。