トレーサビリティと情報開示は、信頼される繁盛店には欠かせない条件

トレーサビリティとは、物品の流通経路を生産段階から、最終消費段階または廃棄段階まで追跡が可能な状態のことを言います。

最近のニュースを見ていると、食品管理に関するニュースがよく報道され、流通から廃棄に至るまで人々の関心を集めています。

食品の安全性が問われるようになってから、特に原材料管理から賞味期限の管理などが重視されています。

賞味期限がまだ残っているのに、毎日大量の食品廃棄が行われています。

世界から見ても食品の廃棄量は、世界一だそうです。

また、食品をはじめあらゆる物品の「生産地」に対する関心が高まっています。

生産地によって、店舗に並ぶ商品の売上も変わってくるぐらいだから、生産地を偽って販売する業者もいて、しばしば事件としてニュースに取り上げられることもあります。

店長は店舗の健全経営のために、来店客の信頼を裏切らないために、安全と安心を提供する必要があります。

では、流通面からもお客様に支持されるような店舗経営とは?

信頼される繁盛店には欠かせない条件
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全ての食品に求められるトレーサビリティ

トレーサビリティが注目を浴びたのは、2003年に発生したBSE(牛海綿状脳症)問題(一般的には狂牛病と呼ばれる)の時です。

このBSE問題の後、牛肉については同年6月に「牛肉の固体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」(牛肉トレーサビリティ法)が制定され、まずは生産段階で、更に流通段階においてもトレーサビリティ導入が義務づけられました。

そのため、国産牛肉は、牛の出生から食肉処理場における処理、牛肉への加工、小売店頭に並ぶまでの一連の履歴を10桁の個体識別番号で管理されるようになりました。

現状、トレーサビリティが義務づけられているのは牛肉だけですが、今や全ての食品に必要とされる管理手法となっています。

<消費者が商品に対して気にしていること>

・産地偽造

・無認可添加物使用

・遺伝子組み換え作物の混入

・使用原材料

・製造日時の表示

これらの偽表示などが後を絶たず、店舗側の管理体制が問われています。

多くの場合、製造段階での偽りのため、販売現場では手の打ちようがないのが現状です。

しかし、偽表示商品を販売してしまえば、販売したこと自体は否定のしょうがないのです。

「仕入れただけだから、店には責任がない」「店は被害者だ」という店長の認識は甘いのです。

少しでも疑いのある商品は、すぐに店頭から下げてしまうこと。

特にニュースやワイドショー等で問題有りとして取り上げられた商品は、絶対に並べてはいけません。

お客様は声に出さなくとも、そういう店舗側の販売姿勢を見ています。

もし、「すぐにはバレないだろう」「在庫だけできるだけ売り切ってしまおう」という考えを持っているなら、知らないうちに来店客が激減してしまうことになります。

そうなっては、再びお客様を呼び戻すのは並大抵のことではありません。

一度失った信用は、なかなか元にはもどりません。

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お客様の信頼を裏切ってはいけない

「このお店の商品は、安心して食べられる」「店長が勧める商品なら安心できる」と、お客様は、利用している店舗を信用して、商品を購入します。

見ず知らずのメーカーや、生産者を信じて商品を購入するのではありません。

実際に店長や店舗スタッフと顔を合わせ、一生懸命に働く姿を見ているからこそ信頼しているのです。

だから悉意的ではなくとも、偽装商品を販売することは、自店のお客様に対する裏切りであることを自覚しなくてはならない。

売り場に並ぶ商品は、店舗がチェックを行うこと

信頼する仕入先が許可した商品だから大丈夫、仕入先が国産だから安心だから大丈夫、といった情報で判断するだけでは甘いのです。

売場に並べる際に、形などから疑問を感じたり、お客様から質問を受けたりした場合には、確認を取るくらいの商品に対する責任を持たなければならない。

このような意識や活動が、顧客からの信頼を勝ち得ていくことになります。

また、POPや説明資料、セールストークなどには、不確実な情報ではなく、事実を伝えていくことも広い意味でのトレーサビリティです。

例えば、「○○ナンバー1」や「元祖」などをPOPにする際には、実際の事実関係を確認しておく必要があります。

今やなんでも情報がシェアされて、SNSなどで瞬時に広範囲に拡散されてしまいます。

地域の小さな店舗だから、そんな心配は無いとは言えません。

店舗が小さくても、無名でも、お客様が「これは教えたい」って思ったら、いつ、誰がSNSに投稿するかわからないのです。

もし、その情報が間違っていたり、いい加減な情報だとしたらどうなるでしょうか?

投稿されたら、もう手遅れです。

悪い印象が付いてしまうと、それを払拭するのはとても長い時間がかかります。

最近、よく問題になるのが繁盛店と「よく似た名称やロゴマーク」なども、小さな店舗だから目立たないから大丈夫と思っていたら大きな間違いです。

正しい情報を提供するという視点を持つことの重要性も考慮していきたい。

食品だけでなく消費財、生産財でも関心高まる

ニュースで大きく報道されたりしましたが、食品業界で繰り返された偽装事件や輸入食材の安全性への不安などが、トレーサビリティに対する一般人の関心を高めました。

それからは、卵の生産日を卵に直接印刷したり、野菜などの生鮮食品にバーコードをつけ、生産者、生産方法、流通履歴などの情報を開示している食品スーパーや農事法人も現れています。

また工業製品においても、トレーサビリティを重視し、製品品質の向上や不良ロットの回収に役立てようという活動が積極的に行われています。

さらに環境・資源問題から、工業製品のリサイクルが進んでいます。

自動車や家電製品の資源処理に関してもトレーサビリティ情報を提供していこうという流れもあります。

企業側も消費者も、トレーサビリティへの関心が高まり、食品、消費財、産業財にかかわらず、取り組みは盛んになってきています。

その背景には、顧客の信頼・安心が企業や店舗にとって必要不可欠であることの意識が浸透してきたということが言えます。

偽装が顧客への裏切りであること、それが企業や店舗経営の基盤を揺るがすことが認知されてきたのです。

それでも、金儲けに執着しすぎて周りが見えなくなり、法律の隙間に隠れて偽装行為をする業者がいます。

本当の意味で信頼される店長になるために店舗でも、商品情報の提供は販促のためだけではなく、信頼・信用づくりの大切な活動であることの自覚を強めてほしいものです。

以上、「トレーサビリティと情報開示は、信頼される繁盛店には欠かせない条件」でした。

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