店舗経営の事故犯罪を防止する、店長のためのリスク管理と風土づくり

店舗を経営していると、毎日何かしら小さな事件事故が起こります。

ほとんどは些細なリスクでしょうが、これが積もって重なってくると、やがて大きな事件事故に発展する可能性が高くなります。

あの時、きちんとリスク管理をしておけば良かった・・・きっと誰もがそう思うに違いない。

でも、起きてからでは遅いのです。

「毎日気をつけている」「なんとかなる」、そんなことはありません。

何か起きた時、インターネットを通じて情報の拡散も早くなっているから、昔に比べると店舗への風評被害など、損害も大きく広い範囲に及ぶ可能性があるのです。

店長はそのことを、肝に銘じてリスク管理をする必要があります。

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リスク管理は認識・理解から始まる

店長であれば環境問題や品質管理、部下のプライベート等々、店舗営業には様々なリスクがあるはご存知だと思います。

では、何かトラブルが合った際に、その責任を追うのは誰でしょうか?

そう、トラブルの責任も、防止するのも店長自身なのです。

もちろんその要因となった関係者にも責任はありますが、お客様から見れば、その店舗の代表者が責任を取るのが当然という意識があります。

だから店舗の営業を左右する今後の環境問題や品質管理、部下のプライベートな言動などの店長が負う社会的責任は、業績責任以上に重い役割となってくる可能性も高くなっています。

<店舗におけるリスク管理の出発点は2つ>

  • 自分自身がリスクを認識・理解すること。
  • 店舗スタッフ(社員だけでなくパート・アルバイトを含む)全員が、同様にリスクを認識・理解すること。

店舗スタッフには、「これからこんなことが起こるかもしれない」「ここを直さなければ、近い将来にトラブルの原因になるかもしれない」というリスクを認識・理解してもらう必要があり、店長は店舗スタッフに、リスクに対する教育や啓蒙を行っていかなければならない。

そして、常に法律や社会情勢は変化します。

店長は流行に敏感なだけでなく、社会情勢や法律にも意識のアンテナを張って、対応していかなくてはならない。

特に近年、インターネットを利用した口コミ情報が重視されるようになりました。

店舗から提供されるものが、安全なものかどうか? 不良箇所は無いか? 接客態度はどうか? 顧客を大切にしているか? 店内は清潔感があるか? など、消費者が企業や店舗を厳しい目でチェックするようになりました。

また、店舗スタッフなど働く側の意識の変化もあります。

サービス残業や、無理なペナルティを課したり、パワハラなど、様々なことが社会問題になり、個人の権利主張や労働条件・環境整備のみならず、社内人間関係にもリスクを生じさせています。

1人ひとりの従業員は善良でも、意識や認識の甘さが、店舗にリスクを発生させます。

「こんなことくらい」「私は絶対に大丈夫」、このような個人の意識を改革することが店長には求められます。

「常識」というものは、人それぞれ基準が微妙に違います。

小さな行き違いが、人間関係にやがて大きな亀裂を生む原因になるので、意識の違いを埋める日々のコミュニケーションが大切になってきます。

<横のつながりや縦のつながりも重要>

店長以外に部門のリーダーがいるのであれば、そのリーダーによるチェックを行うことも必要です。

店長だけでなく、リーダーによる指導やチェックを、組織として行う常識的なことにしていくのです。

・同じ店舗で働く仲間として互いを知ること

・職場としての店舗と、お客様のための店舗をレベルアップさせていく意識を全スタッフに持ってもらうようにしていくこと

これが重要です。

また、コンプライアンス以外にも事故やトラブルは生まれます。

店舗内で金銭トラブルなどの事故を発生させないために

店舗スタッフや関係者による金銭の横領や商品の横流しなどは、いつの時代にも起こります。

金額が大きくなると事件として報道されることもよくありますが、小さなものを含めると氷山の一角です。

横領や横流しを行うことは犯罪ですが、それが行いやすい環境になっていることも問題です。

セルフ販売やカウンター飲食の店舗で行われる1万円チェック、「1万円入ります。確認お願いします」などは、釣銭間違いの予防とともに、高額紙幣がレジに入金されたことを皆で確認することを意図したものです。

レジの中間チェックも同様です。

更に強盗などの犯罪が起これば、部下の安全にも関わります。

盗難に対する対応方法と、その限界も規程を定めておくべきです。

店長としてのリスク管理で最も重要なのは、店舗の風土を作り上げること

店舗に健全な風土を作るために行うことがあります。

・全店舗スタッフのモラルを高めていくこと

・知識として知るべきことを教育していくこと

・全員で社会的責任を認識・理解すること

・顧客の信頼を得るために、意識と姿勢を磨いていくこと

これらが店舗の風土の構成要素として求められます。

この風土を作り上げることが、リスクやトラブルを未然に防ぐ店舗を作り、それが店舗と企業を守り、成長させていくことにつながるのです。

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店舗における重大リスクの分類

自然災害・事故

・自然災害・人為的災害自然(台風など)・人為的(火事、事故)

災害や事故による商品や店舗の損失。営業中であれば、顧客・社員の安全など

情報漏えい

・企業内情報

・顧客情報

企業内情報(機密情報、顧客情報)の流出。人為的なもの以外に、事故(盗難など) による流出にも対応が必要

商品品質

・廃棄

・その他

行過ぎた鮮度管理や原材料や製造工程の廃棄物と廃棄の方法。環境に対する負荷による顧客からの印象ダウンにつながる

労務管理

・労働時間

・ハラスメント

・ストレス

時間外労働・休日取得などの労働環境の他、賃金の支払いに関するもの。違法性があると、本人や家族から申し立てを受ける。

不正・改ざん(横領、情報改ざん)

金銭の横領やごまかし、結果的に横領につながる情報の改ざん

以上「店舗経営の事故犯罪を防止する、店長のためのリスク管理と風土づくり」でした。

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