店長の役割は規律ある店舗運営を維持すること

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●コンプライアンスの遵守は店長の意志次第

店舗では、日々いろいろなトラブルや事故が発生します。
そういうトラブルや事故の発生の多くは、店舗が決められたルールに基づいて運営されていないことが原因になっていることがよくあります。

多いのは、通路へのはみ出し陳列。
非常口前や防火シャッター前にまで商品陳列したり、ストックを配置しているケースは大事につながりかねない。実際に火災が発生して、陳列物が邪魔で逃げられずに死亡したという事件も起きています。

繁忙期には、在庫商品が膨らみ、保管スペースが足りなくなって、つい、「えい。ここに置いてしまえ」となってしまうと想像できます。

このようにコンプライアンスの遵守を普段から強くうたっている大手の量販店・百貨店でも、こんなケースが発生するのは、店長の指導力の弱さに起因するともいえます。

店長はいろいろな事情があろうとも強い意志を持って、お客様の安全や、快適な買い物環境を維持する努力を行わなければならない。

特に法律で定められた基準を守り、店舗を運営することには、絶対の精神で取り組まなければならない。

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知らなかったではすまない!お店の問題に気をつけること

2014年に飲食店で多く発覚したメニューが偽装されていた問題、賞味期限の改ざんなど、現場に任せきりにしていたばかりに起きたことや、長年の悪しき慣習が引き継がれてきたために起きたことなどがあります。

厨房の衛生管理や届出済みの技術者による作業、資格者による調理や販売なども規則を守らないと、行政指導や告発の対象になりかねない。これでは店舗を守れない。

このように法律関係のルールの遵守に取り組むことは、スタッフのやる気やモチベーション、愛社精神醸成にも大きな力を発揮します。

ただし会社が経営理念や行動基準、各種のルールをいくら整備しても、店長自らがそれに背くような行為を繰り返したり、公私混同したり、お山の大将化して出勤時間がルーズになったりすると、店舗全体の仕事に対するモチベーションや社員のモラルは逆に一気に下がります。

そのような状態になるとスタッフによる商品の横領や横流しなども発生しやすくなる。注意すべき人がルーズになると、その店舗の内部は無法地帯化してしまいます。

そして深夜営業は、犯罪に巻き込まれるリスクを高めることも意識しておかなければならない。

更にリスクを高めるのが店舗の「隙」です。
強盗や窃盗などの被害にあわないためにも、規律ある業務運営に取り組んでおきたい。同時に手順通りに業務を行わないと、怪我人が出やすくなったりすることにも注意したい。

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「なぜ」が理解されていないと規律は破られる

店舗が整備しているいろいろなルールは、従業員が気持ちよく働くことができ、お客様にも気持ちよく買い物をしてもらうための決めごとです。

このルールや規律を守ることができないとすればその理由は、「なぜそのルールを守らなければならないのか?」という意味が十分に理解されていないからです。

髪形や髪の毛のカラーの基準、業務中の私用電話の禁止などは当たり前ですが、自己中心に物事を考える人はその意味がわからないもの。そういう従業員が存在する場合には単純に叱りつけるだけでなく、店長はなぜそれがだめなのかをわかりやすく説明し再発を防ぐように教育していく必要があります。「なぜ」が理解されていないと規律は軽んじられ、破られます。

「なぜ」を伝えることを通じて小売業、飲食業、サービス業に従事する者に商いの精神を学ばせる

ルールに記載されていない事柄に対して、正しい商いの精神が伝わっていれば、スタッフは自分の良心と会社の理念に照らし合わせて正しく判断できるようになってきます。

震災などの災害時に、店長独自の判断で被災者に商品の供給を続けた店舗が数多くありました。そういう企業は震災復興後、敬意をもって賞賛されます。もっとも賛否は分かれるかもしれないが、それぞれの店長は極限の状態の時に自店の理念と良心、商いの精神=「店はお客様のためにある」を思い出したに違いない。こういった勇気ある行動も、通常から規律ある行動をしていた店舗に多かったといわれています。

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